904「姪の結婚式」(10月16日〔土〕晴れ)

この歳になると、結構人の死亡の話を聞く。出来るだけ耳をふさいでいる。もうこれきりの人間、最後のお別れ印にお葬式に行き、香典を置いてくるわけだが、自分もそのうち、と思うとちっともうれしい気にならない。香典を損したような気にさえなる。そこに行くとお祝い事はうれしい。その中でも結婚式。おすそ分けで自分が幸せになったような気分になる。お祝いも少しは弾みたくなる。
今日はその結婚式。姪のAさんの招待状が届いたのは2ヶ月くらい前。もちろん出席の返事をすぐに送り、楽しみに待っていた。Aさんは25歳で、J大学出身の看護師。今は集中治療室勤務だそうだ。花婿は26歳、ニッサンの車を売ることを仕事にしているようだ。

場所は青山にある「リヴィエラ」というイタリア料理店。近頃は、ひところのようにホテルや何とか会館ではなく、こうしたレストランなどでの式がはやりだそうだ。「今日は出席したお客様に思い切りおいしいものを食べていただきたいと思いまして・・・」レストランと言ってもなかなか大きい。
「キリスト教方式かね、神前かね。」ときくと「人前結婚式です。」
余り聞きなれない言葉。キリスト教式に似ているが神父はいない。
するすると天井を形作っていたシェードが開くと外のさわやかな風が入ってくる。雨の日にどうするか・・・・・素人の余計な詮索。
女性司会者が指揮を進め、場内にはイタリア?の歌など流れる。
ヴァージンロードはある。父親に手を引かれてドレス姿の花嫁がしずしず入場。
2,3年前に会ったときには青臭かったが、今は最高の美人。人生の一番いい時。
指輪の交換。入りにくくて少しまごまごしているように見えた。二人並んでみるとAさんは随分背が高い。花婿と同じくらいある。
誓いの言葉をお互いに述べ合う。「言っておきたいことがある。」「浮気は多分しないだろう。」「オフクロの面倒を見てやれ。」「オレより先に死ぬな。」など、さだまさしの歌にあったようなことはいわない。「彼女を幸せにします。」「暖かい家庭を作ります」等々。

それからパーテイになった。もちろん今風で、仲人など居ない。最初に新郎が皆様をお迎えする言葉をのべた。青臭いなかに新鮮なものを感じた。
それから簡単なスピーチがあった後、すぐに乾杯、料理が運ばれてきた。すごく甘いトマトとルッコラのサラダ、鯛のポワレ、手長エビを使ったパスタ、米沢牛のステーキ、デザートにあわ立てたテイラミス・・・・みなおいしく、ドイツ旅行で少し体重が増え、減量に取り組んでいる私としては、なかなかに悩ましい。
彼らの話が写真などを交えて紹介される。花婿はスポーツ少年らしい。野球が好きでかっては甲子園に近いレベルまで行ったとか。二人が知り合ったのは、数年前の花火大会のアルバイトだそうだ。縁は異なもの、味なもの・・・・・・。
それにしてももう既に1年半一緒に生活している、ハワイに一緒に行った、など一昔前だったら言うことを憚るようなことを平気で公開する。今風なのだろう。しかしその方が誤解がなく、これからの長い人生幸せにやってゆけるのかもしれない。

余興に昔から手品得意のお父さんが手品を披露した。この結婚式に親父が手品?と妙な気分であったが中々受けていた。
キャンドルサービス、ケーキカットなどは我々の知っているものと同じ。
しかし「ファーストバイト」なんてのは、誰が考えたのだろう。ケーキカットしたケーキの一切れを、お互いに相手の口にアーン・・・・。
花嫁が両親に感謝の手紙を読み上げるのも最近の風習のようだ。今日まで育ててくれて本当にありがとう、これから**さんと幸せな家庭を築きます。・・・・赤ちゃんが出来たら面倒見てください、まだ遊びたいから。生活費足りなくなったらよろしく。老後はお二人だけで幸せに暮らしてください、等とは勿論言わなかった。
そして最後に花婿の愛の告白だの、プレゼントだの・・・・。
結婚指輪以外にベネチアンカットのネックレスも用意とはなかなか大変。しかしまあ、Aさんはにやにやと幸せ一杯の様子。そして接吻。勝手にせい!
新婚旅行はタヒチに行くのだそうだ。ますます羨ましい。
5時半から始めたパーテイは8時頃までかかった。大きな引き出物を抱えて帰った。

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