905「古文書研究会」(10月20日〔水〕曇り)

高等学校同期のA君から「中国研究会に参加している。その下で古文書研究会なるものを立ち上げ、活動している。君も参加しないか。」と5月頃。
「昔の人が書いたもの、読めぬわけはあるまい、と始めた。」とA君。
いろいろ考えたが一つの勉強、自分の殻やぶりになるかも知れぬと参加し始めた。
今回は桜新町にある新町会館。
桜新町などほとんど聴いたこともなかったが、渋谷から田園都市線、駒澤大学の次。
参加者はA氏のほか、B氏、C氏、彼らはニッサンに勤めていたとのこと。
それにDさんという合唱をやる母娘、今日はお母さんのみ来ていた。

ここで扱う古文書は江戸時代のもの。筆でサラサラ書くらしいのだが、私にはミミズがのたくったように見える。しかもあの時代、文書はほとんど男の手になる、男は平仮名なんて使わない、すべて漢文調、もっとも中国式が完全に使われているわけではなく、一、二点、甲、乙点など難しいものはなくレ点程度だが・・・。
しかし皆さん、秀才!。ミミズののたくりをよく勉強してくる。なんとなく負けられるか、と各人のハートを刺激するかえらかも知れぬ。
私も是ではいかん、と最近では「漢字くずし方辞典」を紐解いたり、市販の参考書を読んだりしているのだけれど・・・・・。一方で私は習字を少しやっている。それゆえ僭越にも「読めるなら、書けぬわけは、あるまい。」とまずはイロハの元になった文字から書いてみている。しかし統一されていないものだ。「か」という字を書くのに私の資料でも10数とおりの漢字が使われている。
「加」、「可」、「閑」、「賀」、「家」、「歌」、「佳」、「香」、「我」、「霞」、「下」、「荷」等々。
私の場合、まだ5割の字がわかるかどうか。
この前は読むべき資料が6枚に分かれてe-mailで送られてきた。6枚の順序が分からずに苦労したものである。

入会以来すでに2件を読んでいる。
出席女性のD家のご先祖に関わる文書と、黒船が来訪した折の役所のお触書である。
今回読んだものの内容は駆け落ちした男女の後始末。
「あなたの元で働いていたハツを、この4月3日夜、旅館「十兵衛」に貸し出したところ、臺町の新兵衛のところの庄九郎を誘い出し、猟師町伝吉の船で江戸に逃げ出してしまった。
不届き至極の振る舞いである。
伝吉と庄九郎兄平右衛門が江戸に向かい、二人を発見、連れて帰ろうとした。ところが途中で逃げ出し、その後彼らの行方が分からない。4人馴れ合いの話なのかも知れぬ。
あなたのお役所への訴えにより、ご吟味があり、伝吉と平右衛門を入牢させた。
両人を糾弾したが、馴れ合いをきっぱり否定した。しかしご吟味にかなりの期間を要し、関係の人たちは大変迷惑した。行方も色々尋ねるが依然分からぬ。
そこでニツ家清次郎殿に頼んで、いろいろ協議した結果、諸費用として十両を差し出し、お役所にはあなたの訴訟を取り下げてもらうようお願いした。幸いにもお役所では受け入れてくれ、御赦免となった。今後は油断なくハツの行方を捜査し、見つけ次第あなたの元にお返しする。万一住所が分からず、見つからぬ場合には、全員で探したいので得心してほしい。是で和談となれば「済口証文」を役所に提出したい。
証拠として関係者一同、まずはこの一札をあなたに差し出すものである。
         安永八年亥六月         以下関係者署名」
つまりこれは関係者が訴訟を取り下げてもらおうと旅館の主人に入れた一札。
駆け落ちというのはお芝居や小説の上の話だけではない・・・・・。私にとってはまったく異質の世界を見ている思いで読んだ。
この次は御用番の日記、結構厚い、どこまで読めることやら。

終わってから男3人で軽くやろうと、探しておいた店に行ったが時間が早かった。
そこで近くにある長谷川町子美術館に寄った。ここは彼女の出身地らしい。
この美術館は楽しい。展示してあるものが彼女のマンガだから、巻物だの妙な飾りだの展示したなまじの美術展に比べ分かりやすく楽しい。お勧めである。その上所蔵作品展では、高山辰夫など情感あふれる日本画が多い。長谷川町子は中々の収集家であったらしい。美術館は今はお姉さんの管理とか。

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