最近6回にわたって日本経済新聞に掲載された記事。小泉式トップダウンに不満を募らせ田結果選んだ、「民主的な」民主党政権。しかしその矛盾が見え始めている。それを考えるよい機会になると考え、興味深く読んだ。以下自分なりのノート、いづれも最初の2行は其の回のタイトルと掲げられていた標語である。
@経済危機と民意の迷路、日米欧、広がる政治不信:「民主主義は最悪の統治形態だが、いままで試みられたどんな制度よりましである。」チャーチル
民主主義発祥の地ともされるギリシャを、国債を買うことによって、非民主主義国家中国が助けようとしている。日本では唐突な消費税増税宣言で菅政権が、民意を前に苦悩している。アメリカでは約束した「チェンジ」がまったく実感できないとオバマが、人気を失っている。経済危機のフランスではサルコジが、やはり苦戦。
英国の学者は「経済成長はデモクラシーに有利に作用する」というものの、米国の学者は「経済危機が一旦起きると10年は経済停滞が続く」と警告する。4年で5人目の首相を迎える日本お悩みも深刻。非民主主義国家が資本主義を採用し成功することもある。果たして民主主義の優位性は保てるのだろうか。
A北京からの挑戦状、異質な市場経済、どう対峙:「中国の新しい地位には、それにふさわしい責任が伴わなければならない」ノーベル賞委員会
日本は、尖閣列島をめぐる対立で、中国の力の外交に対峙させられ、その方向すら読みきれず、苦悩している。その非民主主義国家中国は、ノーベル平和賞問題でもノルウエーに圧力をかけようとしている。しかし上海万博では、土地は国のものだからと多くの人を立ち退かせ、インフラ整備を思いのままに行なった。また台湾とは経済的な不利益に目をつぶっても自由貿易協定(FTA)を締結、関税下げを決めた。「一部の途上国にとって中国は、経済発展に民主化は必ずしも必要でない、と映る。」〔外務省幹部〕成長が鈍れば非民主的な体制に不満が爆発し、社会が混乱するとの見方もあるが、中国モデルは本当に経済をよりうまく運営できるのだろうか。
B「安定」見失った中間層、変革求め政治揺さぶる。:「社会構造の激変の真の原動力は、常に中産階級の中に存在する」フランスの社会人類学者
日本の世帯所得の中央値は427万円で、10年前と比べ100万円以上の減少、300万円未満の世帯の割合が約10ポイント増えた。デフレ進行や年功序列の崩壊が自民党の政権基盤を弱体化させた。「年齢が増すほど自民党を支持するようになる傾向が崩れてしまった。」〔大学教授〕
少子高齢化と低成長、中国など新興国との競争、賃金の減少、雇用不安がもたらしたものは何であったか。「中間層が痛めつけられ民主主義を不安定にする」〔ドイツ国務省〕
政治はついポピュリズムに陥りがちに成る。財源の裏付けないままのマニフェスト、欧州では反イスラム、反移民、ロマ人の強制国外退去等々。
C政治主導英国も苦慮、つかめぬ「公僕」との仲:「政治家が官僚と同格と考えるから、脱官僚なんて言う言葉が出る」中曽根康弘
100人を超す与党議員が閣僚などとして政府に入る英国、民主党のレポートはお手本だが「政府内に政治家が多すぎる」。英国ジャーナリストは「政治家と官僚の最適配置はわれわれも試行錯誤だ」。若い官僚に「霞ヶ関に見切り」をつけて去る官僚が目立つ一方、複数幹部は退職勧告に「やめません」の回答。「官僚が選択肢を示し、政治家が指示を出す仕組み作りは、世界共通の課題」との声もある。
D 増税政変のジンクス、覚悟と準備、突破口に:「代表なくして課税なし」〔米国独立戦争スローガン、課税は議会に送られた代表による決定が必要との考え方。〕
アメリカでは増税につながる政策は何でも反対する運動が、景気低迷や不法移民の増加で将来に不安をいだく白人層の間に広がっている。菅政権は消費税増税を言い出した途端支持率を下げた。ドイツメルケル政権は大連立の下で付加価値税増税に成功しているが・・・・。
金融危機に見舞われた欧州各国の政権は緊縮財政と共に増税策を迫られている。歯止めがかからない日本の財政悪化、市場がいつまでも待ってくれるとは限らない。
E 5人のための一人?国益・地元普天間の解は?:「国益なくして〔沖縄の〕県益はありえない。ただその県益を最大限に尊重していくことが、最大限の国益につながる。〔故梶山静六〕
国土の0.6%に75%に基地集中つまり沖縄は国全体のために犠牲になるべきか。やむを得ぬと傾いたところを「前首相」が「最低でも県外移設」といったことから始まる。国益と民氏の接点、それが問題。「海外の米軍基地はその国が民主化すると撤退に追い込まれやすくなる。」〔米国大学教授〕・・・しかし沖縄の基地問題に答えを出さぬわけには行かぬ。
ただ、どの記事も現状報告と問題提起は行なっているが、其の処方箋、現状の行き着く先を示しているわけではない。それは、皆が考えろ、ということか?
註 ご意見をお待ちしています。
e-mail agatha@bekkoame.ne.jp
home-page http://www.bekkoame.ne.jp/~agatha