918「人生五十 功無きを愧ず・・・・」(11月28日(日)晴れ)

ついにやってきた詩吟の発表会。
正確には「新宿区生涯学習フェステイバル「吟剣詩舞のつどい」」。開催場所は四谷市民ホール、主催公益財団法人新宿未来創造財団。この日のために、2ヶ月くらい、お稽古でも、家に帰っても、演目の「海南行」と「平常心」ばかり練習。衣裳も皆で申し合わせたとおり、黒の礼服、新しい黒い靴下等、セイユーで1500円の黄色のネクタイをそろえ、結婚式に出席するくらいには気を使う。

まずは8番目に大合吟で「平常心」
20人余り、事前の打ち合わせでは先輩のAさんを中心に「男性が前、女性が後ろ」と言うことだったらしい。ところが「やっぱり背の低い女性を前にしたほうがいい。」と変更。すると「私は後ろだから目立たぬと、歌詞を覚えてこなかった・・・。」など言い出すものがいた。Aさんが「春は百花あり」とリードし、我々は高音の「秋には月あり・・・」から唱和。
夕べ練習したときに、メロデイはどこで切れるのかわかりずらく、長さが会わぬことに悩まされた。しかしやっているうちに「どうせ沢山出るのだから、それにあわせればいいではないか。」と考えて気が楽になった。しかし本番になると「このオレ様の声が聞こえぬ、など我慢ならぬ。」とつい大声を張り上げ、どこを歌っているのか一瞬わからなった。観衆にはどのように聞こえたことやら・・・・・。どうも事前に練習場を独占して合わせた青いそろいの浴衣の洌風会のおばさんたちには負けた気がする。
それでも一つ終わり、かなり気が楽になった。次はいよいよ28番の「海南行」
人生五十 功無きを愧ず/花木春過ぎて 夏すでに半ばなり/満室の蒼蝿 掃えども去り難し/起って禅榻を尋ねて 清風に臥せん(細川頼之)
Bさんがリードし、私とCさんが左右からあわせる。
マイクはそれぞれに1本、舞台に出たら落ち着いて高さを調節し、口との距離を15-20センチくらいにする。是が中々のポイントのよう。近すぎれば無闇に共鳴する様な音になり、遠すぎれば聞こえない。両足を肩幅に開いてすっくと立ち、両手は左右に軽く握って下げる。大分落ち着いてきた。あっという間に終わってしまった感じがする。出だしもぴったり合い、よかったように思う。ただ後から考えると、転句の高音がかすれてしまったような気がした。

自分が終われば後は気楽だ。46番がDさんの良寛和尚の「時に憩う。」
Dさんは、教室でやるときには音程はしっかりしているが、あまり声の出るほうではないように聞こえた。しかし今日はマイクが音をよく拾ってくれ、実に心地よく聞こえた。きっと立つ位置がいいのだろう。
続いて56番、当教室きれいどころ二人、EさんとFさんによる「春夜」
春宵一刻値千金・・・・、もともと上手で声もぴったり逢い、朗々と歌い上げ素晴らしかった。
109組が終えると、其の後10曲ばかり、剣詩舞がある。詩吟にあわせて剣舞が披露されるのだ。直接指導しているG先生が「楠公を詠ず」、応援で我々の指導に来てくれたH先生が「和歌「我が胸の」」、A先生は別の先輩と「本能寺」であった。ほかに尺八をひいていたIさんが京都東山を詠じたが腹をへこませ、胸に息を十分に吸い込んで迫力のある素晴らしい詠いぶりだった。
さらに宗家・会長吟詠。各流派の家元が吟じる。我が霞穂流は宗匠が脳溢血で倒れて意識不明の状態とかで出演が無かった。

みな上手と思ったが、「他山の石」とすべきような例も散見された。@やはりメモ等を見るのは見苦しい。A台詞を忘れたり、間違えたりするものがいた。B咳をするものもいた。Cマイクの使い方の上手下手が、結果に大きく影響するDメロデイと会わぬケースもあった。しかし歌謡曲と違って少しくらいの違いは許されるのかも知れぬ。Aさんから「舞台であがりませんでしたか。」といわれた。分からぬ。さきごろアジア大会で女子100m、200mで優勝した福島選手が「競っている隣の選手が気になりませんでしたか。」と聞かれて「それをしたら負けで、自分の道を行く以外ありません。」というようなことを言っていたのを思い出した。

終わって「詩吟は究極の自己満足の世界だなあ。」とふと思った。大半の作品は、漢詩で五言絶句か七言絶句、しかし俳句、和歌、島崎藤村などの詩、新体詩、中には自分で作ったらしい作品を披露する者までいた。それなら何故歌謡曲を詩吟でやるものが居ないのだろうか。そういえばウイキペデイアの詩吟を調べると「(詩吟とは)具体的には、「はーるーこーおーろーおーのー、はーなーのーえーんー」と歌うのではなく、「はるゥーー(節調)こーろーのォーー(節調)、はなのォーー(節調)えんンーー(節調)」というように、語尾の母音を長く引き、そこで節調を行うことになる。」どういうことになるのか、一度吟じてみたいものである。

註 ご意見をお待ちしています。
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読者から次のメールをいただきました。

・・・・・お疲れ様でした。
録音はされていないのですか?
聞きたいな。

私も、先週、詩吟の仲間と、杭州、蘇州を巡り、詩に詠まれた場所に行って、
李白、張繼、白楽天、蘇軾を大声で吟じてきました。
とくに、新春吟道大会で「楓橋夜泊」の独吟を命じられているため、
寒山寺では念入りに練習し、上達祈願もしてきました(^o^)v。

それにしても、こういう日本人観光客が多いようで、
中国人ガイドも慣れたものでした。
尖閣諸島騒ぎの余韻なども感じられず、西湖の落ち着きから上海の超近代化まで、
ただただ、歴史の幅の大きさを実感してきました。

習字の勉強も、詩吟に近づけたら一挙両得ではないですか?・・・・・。