928「中国人が日本の土地を買う」(1月6日(木)晴れ)

離島や北海道、あるいは東京都心で豊かになった中国人が押し寄せ、土地を買いあさっていると報道されている。あるものは水資源を奪い取ろうとしている、またあるものは領土拡張の一手段であるだと騒ぐ。水は、既に欧米の会社が行なっている。インドで水資源の確保できる土地を買占め、ペットボトルにして世界各地に売り出しているとも聞く。(通信6参照。) 後者は、たとえば南の離島を買い取り、そこを密輸の基地にしてみたり、軍事基地にしてみたりすることは考えられないだろうか。そのとき日本政府はどのような権限でどのようにチェックするのだろうか。

この前TVでその追跡を行なった様子が報道されていた。無税のケイマン諸島に本籍を置く会社、そこをたどってゆくと香港のペーパーカンパニーにたどりついた。そのオーナーは若いリッチな中国人であった。答えを意図的に不明確にしているのかもしれないが、どうも単なる投資目的のように見える。日本の土地は、今まで日本という社会の中で考えられてきた。しかしそれをグローバルで見直してみれば安いのか高いのか分からぬ。
離島は一般的な日本人から見れば「あんなところに住めるわけが無い。」となる。しかし世界に目をむけ、インフラを整備すれば立派な観光地になるかもしれない。都心の土地は、日本人だけを相手にしていては、ホテルなど建てても儲からぬかも知れぬ。しかしこれから観光立国を目指し、観光資源も多い日本である。最初から日本人でなく中国人を対象にしたホテルならどうか。採算性は大分変ってくるかもしれない。

土地の私有という点は、日本もバブルの頃は外国の土地を買った。マンハッタンの高層ビルを買ってアメリカ人に「アメリカが買い取られる。」との危惧さえ抱かせた。それを考えればおかしな現象というわけではない。むしろ、それで悔しければ中国の土地を買いあさればいいではないか、との議論だって成り立つ。
ただひとつある人が発言していることが気になった。
「日本の場合、私権が大きすぎる。むかし地主から土地を取り上げる際に其の見返りとして、土地に対する私権を幅広く認めた。外国では必ずしもそうではない。」
中国ではオリンピックのために多くの人が土地を奪われた、代金すら一方的に決められたり、場合によっては払われなかったと聞く。タイでは土地の所有が認められていない。日本の男たちは、タイで鼻の下を長くし、女にせがまれて土地を買い、家を建ててやる。その後、女との話がおかしくなって分かれなければ成らなくなった。ところが土地は女のものになってしまうらしい。外国人の土地所有が認められていないため、裁判になって負けてしまうのだという。そういう過程を経て土地を分捕った村がチェンマイ辺りにあるとも聞いた。
日本も昔はそうであったのだろう。中央線の線路を見るがいい、まっすぐに敷かれているではないか。あれは当初に決めたとおり、地主は有無を言わさず承諾させられ、代金は払われたのだろうが、土地を提供されたことを証明しているのであろう。しかし成田闘争はどうして起こったのであろう。空港という半ば公的なものを立てようというのに、いまだに一部の地主は「ご先祖から受け継いだ土地を手放すわけには行かぬ。」などと頑張り続ける。なぜ土地収用法を適用し、自衛隊でも警察でも入れて収容してしまわないのか、と考えたくなる。戦後の行過ぎた人権主義の弊害であろう。

私権を全面的に否定するものではない。
しかし私権をどこまでも認めて行くことになればみんなの利益と相反することになってしまう例はよくある。モット身近な例でたとえばゴミ屋敷などもその典型であろう。個人の土地にものを放置することは勝手だ。しかしそれが悪臭を放ったり、蚊や蠅の発生源になったりするとすれば話は別だ。警察が立ち入ることも許されるべきだ、と考える。戦後の社会は、権利ばかりが主張され、公の権利がないがしろにされるケースが多いように見える。公権と私権の兼ね合いをどの辺に置くべきか、土地の所有は正しいとしても、場合によっては公権を優先する法整備を行なう必要がある。

最後に話頭は少し変るが、TVで「結婚して男性と女性が同じ姓を名乗らなければならないのは怪しからん、憲法に違反する。」との裁判を起こした者が居る、と報じていた。個人的には別姓が認められなければ、己の尊厳が認められぬようで気分が悪い、銀行やパスポートの発行などに呼称ではなく戸籍上の姓を名乗らねばならぬ、等の不便を生じるらしい。しかし戸籍制度をタテマエとして国家が採用している以上やむを得ぬ、とも考えられる。いやなら国民総背番号制にし、個人個人を管理すべきか・・・・議論はそこまでさかのぼらざるを得ない。こちらでも私権と公権の境界が問われている。

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