9月のはじめに台湾に行った。これで2度目である。
台湾は人口2200万人余り、3.6万平方キロメートル、九州ほどの島と思えばいい。
前回は20年以上前で、台北から入り、台中、台南、高雄、花蓮と一周した。今回は花蓮1泊、台北2泊のパッケージツアーを選び、台北で2泊延泊した。もちろん、そんな観光旅行で台湾を語ることなどおこがましいが、印象をまとめてみたい。
ある学生が台湾にはにおいがあるが東京にはそれがない、といったそうだ。
松江路沿いのしゃれたホテルに泊まったのだけれど、近くにマーケット街があった。路傍の店にはとりどりの肉、野菜、果物、魚、雑貨が並べられ、人々がいきかい、さらにその中に時々車やスクーターが突っ込んでくる有様でひどく混雑していた。
地下鉄士林駅近くの夜市に行ったが、そこも同じようなもの、靴、洋服など雑貨を売る店と屋台やそれに近い食い物やが軒をならべ、強烈なにおいを発していた。
しかしこの前あった円環という食べ物屋街は姿を消したし、全体屋台の数がすごくへったようだ。セブンイレブン、吉野家、スターバック、マクドナルドなどが進出して一部にはここは日本ではないか、と錯覚されるような光景も目立つ。物乞いもまず見かけない。
台北駅ちかく新光ビル46階の展望台に登った。このビルは1993年に完成した台北一高いビルで244.15m、地上51階、地下7階、総床面積35800坪を誇る。さすがに見晴らしがよく、中正公園、淡水、園山ホテルなどがよく見えた。地震国というのに巨大なビルが沢山見える。行き交う人々が多く、町も四方に広がり、もう東京なみである。ところが今では世界一高い百階以上のビルが建設中とか。
においがあることはうれしい。においがあることは父ちゃん母ちゃんが元気のいい証拠、小資本の商店や工場がまだ活躍する余地のある社会、ということが出来ると思う。しかし日本同様そういうものが失われつつあることもまた事実のようだ。
平和な島である。この前きたときはいたるところに大陸反抗の文字が目立ち、地図には中国大陸を一緒に描いていた。今回も花蓮の空港や基隆港には軍事態勢の面影を認めたが、表面上はのんびりしており、忠烈祠や中正公園の衛兵交代もショウ化している様にみえた。最もこの辺はイージス艦の購入を希望するなど、ハイテク化に力をいれ、本土の攻勢に備えている、と聞いており、うかがいしれない。
健全な島である。日本以上の学歴社会らしく、親は子供の教育に熱心である。小さいころから外国に留学させる場合も多い。道教、仏教、キリスト教など宗教がそれなりに大事にされ、信仰されているようだ。暴走族などは少ないようだ。コソ泥やすりはいるらしいが、夜の町を歩いていてもあまり危険は感じない。
技術立国を目指している。1980年代に入って、繊維や食品などの軽工業品が急速に国際競争力を失った。そこで台湾は産業構造を労働集約型から資本技術集約型に官・学・産一体で転換するべく努力した。その切り札が新竹工業地区で270の企業が進出しているという。しかしこの辺は台北観光旅行ではなかなかうかがい知れぬ。
最後に新北投温泉の川べりに作られた公共の露天風呂に入った。
水着をつけた地元の爺さんばあさんらしい人たちが10人近く入っている。五つか六つの岩に囲まれた風呂が、川に面しているが、同じ温水源からとったものでジェット風呂だの何だのの工夫はない。しかし硫黄のにおいが強く温泉らしい温泉だ。
「ここはラジウム泉で、日本の岡本という人が発見しました。湯元は100度くらいありますが、ここではちょうどいい温度になります。向かいに滝乃湯というのがありますが、あちらのほうが古い。あそこは大正12年に今の天皇陛下がおみえになりました。でもいまではあちらは設備が古く、入場料が高いからこちらのほうが余程よい。」
日華友好協会の顧問をしている、石原都知事や中曽根元首相にもあった、と自慢するお年より氏の話は留まるところを知らない。
このお年寄りに限らず台湾には親日家であることを誇りにしているような人たちが多い。
親日家は二つのグループに分けられるのだそうだ。このお年寄りのように昔を懐かしむもの、他のグループは日本の技術料等にあこがれる若者である。
そういう人たちの期待や思いには出来るだけ答えてあげる必要があるのだと思う。そう考えると、私は、日本が国際情勢とはいえ、中国に遠慮して台湾を承認していない事実をなにか冷たいことをしているように感じる。
親日的で、気候がよく、料理がうまく、安全、もっとも日本人の好みにあう観光地と思う。皆さんも行ってみてはいかがですか。それも素朴な情緒を求めてあのにおいをかぎたかったら今のうちに行ったほうがいい・・・・・。
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