ブラジル投信の基準価格が下がっていることを疑問に思って、昨日銀行で相談したが、その際「アジア市場の現状とこれから」について講演会があるからこないか、といわれた。これから何が起こるかわからない、それゆえ資産は分散して外貨で持っておくのがよい、とはよく言われる。しかし相手先はどこを択ぶべきか。欧州不安、ドルも弱そう、比較的安定したいるのはアーストラリアくらいか、それでも中国がこけたらどうなるか、等不安。ほかにどこかないものか。丁度時間も空いていたので出かける。
銀行のお得意さんサービスの一環らしい。講師は銀行系シンクタンクの男、参考になるところがあったのでまとめておく。
アジアの国々を見るとき、まず一人当たりのGDPを比較するとよい。
先ごろ中国のGDPが日本を追い抜き、日本は米国、中国についで3位に転落してしまった、との報道があった。しかし一人当たりのGDPは日本が38371ドルに対し、中国は3292ドル、10分の1以下、まだまだである。
かって多くの国はこの値が極端に低く、投資先としては不適格であった。一般的にこれが3000ドルを越える頃から、消費が拡大する、といわれる。中国がまさに其の時期に当たるが、其のほかにもこれに近い国がある。
タイ=4167ドル、マレーシア=2214ドル、インドネシア=2247ドル、フィリピン=1866ドルなどであろうか。ベトナム=1041ドル、インド=1061ドル当たりは今一歩か。最近一般消費者をターゲットに流通産業などがアジア進出を試みようとしている。この辺に判断基準を置くのだろうか。
アジアには様々な国があり、日本より豊かな国も多い。シンガポール、オーストラリア、香港などである。アジア全体としてその魅力は
@人口豊富 A労働コストが安い B生産年齢人口が多い
@についてアジアの面積は世界の23%に過ぎないが、人口は60%を占める。
人口ボーナスという言葉がある。
これは(15-64歳の人口)/(15歳以下の人口+64歳以上の人口)と定義され、これが2を超えると人口ボーナスがあるといわれる。
この状態は中国で2030まで、インドネシアで2035まで続くと考えられる。
生産年齢人口が多い、ということは@所得から消費への循環がうまく行く A納税するものが多い B社会的負担が少ない。このようなことが財政健全化をもたらし、同時に景気対策余力の大きいことを意味する。
このようにアジアは発展が予想されるが、市場と実体経済の動きは必ずしも連動しない。長期的には発展するが、今年1年に限れば少し足踏みすると思う。一般的に市場は先読みして行動するから、5年程度先を行くと考えられる。一方で直接投資が増えてから、有価証券投資が増えると考えられる。
人口問題以外に見落としてならないのが外貨準備高である。
家計の場合収入―出費=貯蓄、会社の場合売り上げー費用=黒字にあたるものが、輸出―輸入が生み出す黒字、これが積もってきたのである。95年頃から黒字基調に転じ、すでにアジア全体で4000億ドル程度の経常黒字、4兆3000億ドル程度の外貨準備残高を抱える。
アジアの成長は90年代にもあった。しかし国力が伴っておらず、輸入が多かったからショックに弱かった。しかし今は多くの国でストックが大きくショックの波をかなり吸収できる。リーマンショックでも先進国のように経済成長がマイナスになることはなかった。以上のことから今後もよほどのことがない限りアジアの成長は安定的に続くと思われる。
ただまだバングラデイッシュやヴェトナムは遅れており、まだ蓄積がない。
最近日本の国際の格づけをS&Pが「ダブルA」から「ダブルAマイナス」に引き下げ話題になった。台湾、中国並みである。要因がいろいろ言われているが、ここでは他のアジア諸国を見る。一般にBBB以上であれば投資適格と判断される。
シンガポールやオーストラリアのAAAは別にしても、インドBBB-、タイBBB+、など急速に改善し、投資適格範囲に入っている国が多い。そうでなくてもインドネシアBB、ベトナムBBなど大体の国が上げてきている。
ただ経済成長が高いがゆえに、物価上昇を招いている国が多い。特に昨今は異常気象が続き、食料価格が高騰し、社会不安を招きかねない。そこで各国がとる方策は二つ @金利をあげて景気の過熱にブレーキをかける。A自国通貨を切り上げて、輸入品が安く手に入るようにする、である。しかしたとえば後者は国内産業の問題があり、難しいところ・・・・・。
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