944「京大入試ネット不正事件に思う」(3月5日(土)晴れ)

多くの人はわが身を思い起こせば、カンニングくらい一度や二度経験が有るかも知れぬ。そっとノートをまわしてみたり、手のひらに大事なことを書いておいたり、隣や前後の答案を覗いたり、トイレにたち、そこで教科書を広げたり、様々な手口が取り組まれた。昔ある美術学校の試験で「巳」のデザイン画を作れ、との問題が出たが、「巳」が何のことやらさっぱり分からぬ。そこで「トイレに行きたい。」と申し出、往復の途中にみなの描いているものを見、「蛇かあ・・・。」と納得した、等という話もある。
カンニングを主題にした映画が二つ見つかった。
1「That's カンニング!史上最大の作戦」1996年に「僕たちの映画シリーズ96」として公開された作品で、菅原浩志監督、安室奈美恵が出演している。
2「ザ・カンニングIQ=0」1980年。フランス映画だが、フランスらしくバカロレア試験のカンニングを扱っている。日本初公開時のテレビCMでは「文部省非推薦」・「学校関係の方は立入禁止です」など教育関係者を挑発するような宣伝コピーが挿入されていた。
これらについてはいろいろサイトがあるからそちらをどうぞ・・・・・。

こんなことを考えれば、カンニングといえば、皆「悪いといえば悪いが・・・・。」とか「うまくやったものが勝ち。」と心の奥底で思っていたのではないか。
しかしインターネットが普及し、ホームページからブログ、ブログからツイッターに情報の発信、利用が安易になされる様になり、YAHOO知恵袋のようにどんな質問でも出来るサイトまで出現し、便利に使われている。そう甘くも考えていられない!

京大入試ネット不正事件について色々な声が上がっている。友人の中には「余り厳しく攻めなくてもいいのではないか。」と意見もあるらしい。また京都大学には「何も警察に告発しなくても・・・・。」あるいは「監督責任を十分に果たせなかった京都大学にも責任があるのではないか。」というような苦情意見も寄せられているとか。
しかし今回のやり方は技術的過ぎる。携帯電話でスキャンして問題を読み取り、それを学外にYAHOO知恵袋に、発信して広く答えを求める。スキャン読み取り機能は間違いが多い、とも聞いていたが、最近のものはそうでもないようだ。発信されると、また全国には物好きがいて数分発たぬうちに回答が帰ってくるというのである。51歳の会社員が答えた、等と書いているが、この会社員は何をやっていたのだろう?

受験生には悪いが、余り同情しない。警察が乗り出し、逮捕された、というのは受験生にしてみれば想定外であったろうが、事の成り行きでやむをえない、と考える。事件を放置したりすれば入試そのものが成り立たなくなってしまう。幸いなことに今回はYAHOOなど、プロバイダーが捜査に全面協力した。其のおかげで携帯使用者が割り出され、受験生に簡単にたどり着くことが出来た。この前の尖閣列島事件の画像流出問題と同じである。・・・・もっともこれには警察自体が京大に働きかけたのではないか、というささやきも聞くが・・・・。
しかし警察が動くことなく、京都大学が訴えたところでYAHOOは協力しただろうか。協力がなければ発信者にはたどり着かぬ。防衛庁の機密データ流出問題でプロバイダーが海外であったため、協力してもらえなかった、との話を聞いた。今回京大が告発し、警察が動いた結果、早大など他の大学も本人の合格取り消しなどの手を打ち出した。つまり入試に不正を許さぬというスタンスが改めて明らかになった。其の点もよかった。

私が不正受験生の父親だったらなんと言うだろう、と考えた。多分「カンニングをしようなどと情けない。来年、堂々と正面から受験しろ。」くらいしか言いようがないだろう。ただ受験生が「本当に恥ずべき行為であった。」と感じてくれるか、それが気がかりだ。私も含めて多くの人間は、かなりの年齢になってから出ないと「こんなことをやっても意味がない。」と気づかないものだ、と感じる。若くからみなが悟りきれるのなら、あの「クリーンな政治」とやらもとっくに実現しているからなのかもしれない。

京大の告訴はまた別の意味で効果があったように思う。世の中、本物を求めずに他人の意見を借りたり、盗んだりして生きていけばいい、という安易な風潮への警鐘だ。
ある大学の先生が悩んでいた。この方法が広く知れ渡ってしまえば「学生にレポートを出せといったところで意味がなくなってしまう。今でさえ、コピペのレポートが横行し、自分で努力しようとしない学生が多いというのに・・・・。」入学試験のほうはおそらく今回の事件で、いろいろの対策がとられることになるのだろう。しかしレポートの方は難しそうだ。個人の「悟り」に待つ以外ないのだろうか。

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