孫娘が、子供のときから通っている中学から、高等学校に行けることになった。
中で結構難しい試験があったとか。その結果だからうれしい。
何かお祝いを買ってあげよう、とメールを入れると、「えっとね、イーストボーイで春のブーツと学校用のソックスが何本かほしいです。わーいわーいありがとう。」
膨らし粉みたいな名前のイーストボーイとは何だ、と思ったが、承知して、こちらの懐ぐあいもあるから町に行き、女の子のブーツとはいくらくらいするのかチェックした。
するとせいぜい3000円から5000円、思いのほか安かった。これなら安心と考えた。
吉祥寺。学校帰りである。膝小僧に絆創膏をあてがっている。走り回っていて転んだのだ、という。少し大きくなったような気もする。
あどけないが少し抜け目なくなっていた。「ね、お財布もほしいの。コーチのいいわ。」コがポに聞こえて、ポーチといえばお財布そのものではないか、と思った。しかし気がついて警戒心を高める。「まずお茶でも飲んで・・・・」・・・・我々の感覚はデートといえばまずお茶である。ところがお茶はいい、まず買い物に行こう、という。イーストボーイは東急に入っていた。展示してあるブーツを履いてみると少々きつい。店員が「それがLサイズでございまして、一番大きい。」あきらめた。
こちらは一つは免れた、と一階のコーチへ。店頭に並んでいる品物を見て驚いた。コーチといえばブランド、おいてあるものは皮製のハンドバッグ類、スカーフなどと相場が決まっていた。ところが向こうは需要に合わせて品揃えを変えている。高校生くらいを対象にしたような普段用の財布、ペンシルケースなどもずいぶん並べているのである。「このマークがなければ10分の1で買える。」など腹の中で思いながら、孫娘となれば仕方ない、とあきらめる。
孫娘はなかなか粘り強く、「ブーツはだめだけれど・・・・」とイーストボーイに戻り、ソックスを買い、さらに町を歩いて、別の店でブーツを発見。
お茶はやっぱり興味がないらしく「ね、夕食はどうするの。私はオジイチャンの家で食べたい。」
この答えにまたびっくり。レデイの夕食ともなれば、どこぞのレストラン、と考えて、我が家は掃除なんかしていない。におい沸き立つジジの下着など散乱している。しかし向こうが希望するならやむをえないと承知。ハンバーグがいい、というから、買って帰ろうか、とも思ったが、作ってほしい様子、仕方なくひき肉、食後のケーキなど買って帰る羽目に・・・・。
この頃の子は他所の家に行き、台所を手伝う、等とは教えられていないのか、ソファーに座り、時にはピアノなどポロン、ポロンやりながら「まだ、食事は出来ぬのか。」。お殿様である。
ジジは大変。涙を抑えて、たまねぎをみじん切り、バターでいためてボールに取り出し、牛乳とパン粉を加えてこね、ここに卵とひき肉、塩、胡椒にナツメッグ。またこねこね、まとめて4等分・・・・。味噌汁も作らねば成らぬ。
ひき肉は350グラム使った。ハンバーグ4つ、4人分のつもりである。しかし出来上がってみると、少し小さい気がしたから、彼女に2つつけた。どうかな、と見ていると、以外にペロリ。
食後のケーキも軽い、軽い・・・・。不思議にこのときも彼女は飲み物を要求しない。コーヒーと唐辛子はまだ苦手らしい。子供と大人の入り混じった妙な年齢?
「お腹がパンパン・・・・。」と腸詰みたいになった腹を見せる。レデイはそんなところを見せるもんじゃない!自身は、買ってもらった財布を見せびらかすようにして「明日から、私もセレブ・・・・」なんと答えてよろしいやら。
最初に見たとき足の絆創膏の成果少しやせて見えた。「痩せているんじゃないか。食べるものは食べるんだぞ。」というと「本当?そんなこと言ってくれる人いないわ。」と喜んでいたが、今もう一度見上げると、少なくともやせているということはないなあ・・・・。もっともこれは禁句。健康であればよろしい。
会うまではこんなことも聞かせてやろう、あんなことも教えてやろう、等考えていたが、どうも違う世界の人間を見ているようだ。「4月からセーラー服を着るのよ。」と嬉しそう。
結局ケーキが終わるとまもなく、買ってもらったものを抱えて、うれしそうに私と一緒にバス停に向かった。家に戻った私は、若いエネルギーに圧倒されてひどく疲れた気分になった。
ガールフレンドのAさんに電話。「お茶も飲まぬし、食事も我が家で、というのは予想外の展開だった。」すると「それは彼女なりに気を使っているのよ。高いものを買わせるから、後は遠慮しておこう、って言うのよ。」うーん・・・・・。
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