948「大変だが、大騒ぎしすぎないか」(3月16日(水)曇り)

今回の地震騒動、被災者の方々には大いに同情する。TVを見ていると私だって涙さえ出てくる。しかしこのことを過度に大きく捕らえすぎることも問題であると思う。
たとえばフランスは日本にいるフランス人は全部引き上げさせる、等といっているらしい。
日本からの製品はすべて放射能検査を行なうとしている国もある。
日本の実情を知らぬと日本人も笑っていられぬ。放射能と聞けば何でも危険と考えるのか
「これで福島産の野菜も米も魚も食べられなくなる。」などというものもいる。
放射能は「ついに県境をこえて関東にまで入り込んだ。」と吹く新聞もある。しかし我々は何もしなくても自然界で放射能を浴びているのである。わずかに上がっただけで大騒ぎして見せるのは新聞を売りたいだけのものなのか。そしてスーパーでの食料品不足、ガソリン不足、それらが不安を煽っている。しかし基本的には輸送手段の問題だ。電気がこなくなったおかげで鉄道が止まり、其の鉄道、幹線道路が地震で破壊されて一時流れなくなった為である。しかしこの問題は日を追って改善されてゆくのではないか。TV等を見ていると東北地方壊滅の様子にすら見えるが、あえて被害は限定的といいたい。

被害地域を考えると、青森を含む裏日本はほとんど影響を受けていないし、福島、宮城、岩手だって沿岸部の低い地域だけだ。沿岸部には崖が海に迫っているような地域も多く、被害が少ないはずだ。低い地域でも被害の少ないところもあったようだ。昔行った松島瑞巌寺を調べたが、それほどでもなかったようだ。それをTV等はピンポイントで被害地に乗り込み、被害の大きそうな場所を次々に映し出すのだから、どうしても怖くなってしまう。
外国市場は面白い見方をする。今回の被害は大きく、日本は復興に円が必要になるであろうから、海外資産を捨てて円を求めるだろう。だから円が上がるだろうと猛烈な円高である。しかし状況を考えるとそもそも復興需要そのものがどれほどのものか。破壊されたのは沿岸部の道路、鉄道、住宅などのみ。日本の国力を云々するほどのものではない。
株式市場は、日本も外国も大暴落である。特に外国株式市場は日本の原発の事故を中東問題などと並んで世界経済に与える大問題のように捉えているらしい。日本の電力供給が十分でなくなり、産業が致命的な影響を受ける・・・・。しかしとてもそんな問題にはなりえない。

東電の電源は調べたところ電力量ベースで「原子力 29% 水力 5% LNG,LPG 45% 石炭 12% 石油 9%」福島原発は其の一つに過ぎない。まだ主力は火力である、水力は増やしたいがそんなに増やせない、太陽光発や地熱も限定的とまず認識する必要がある。
多くの東京電力の設備は夏場のピーク需要に対応するために整備中。それらを全部入れた総発電量は6000万KWに及ぶ。現在の東京電力全体の需要は3500万KW前後であろうか。
其の上で福島第一原発の重要性についてしっかり認識しておく必要がある。
福島第一原発は6基あるらしい。そのうち1-3号機が稼働中であったが、3台あわせて200万KW。この200万KWに加えて、今回の地震でいくつか設備を見直さなければならないものもあるのかもしれぬ。それらが原因で、東京電力は時間停電などという処置を一時的にとらざるをえなくなっているように見える。しかし東京電力全体の能力から考えれば、たかが200万KW。何日かのうちに需要に対応できるように成るであろう。
東電がつぶれる可能性まで考えているように見えるほどの、東電株の暴落。今回の被害は大きいだろうが、会社がつぶれるはいかにも大げさである。

ただ東電は、2019年には原子力を約50%にしようとしている。この政策は変えざるを得ないだろう。おそらく火力の増強しかあるまい。太陽熱などと意見があるが、どれだけの受光面積がいると考えているのか。海の上に作り、その下は死の海になってもかまわないというのか。しかし火力の増強となれば、二酸化炭素削減目標との整合性はどうするのだろう。同じことは日本全体についても、原発を推進しようとしていた欧米の国々についても言える。
中東問題との違いはよく認識しておく必要がある。幸いなことに今回の事件に際して日本人の秩序の正しさに賞賛の声が海外で上がっている。日本人は戦後の復興でも明治維新でもそうであったように、こういう危機的状況になると、よくまとまりその力を発揮する。民族問題などはなく、みな復興に一丸となるであろうから、早いのではないか。
個人ばかりでなく政府も含めて、今の右往左往を愚かな行動と気づくとき来ると信じる。そしてそれを皆が一つづつ修正し、元の状態に戻る。大きな教訓はデマなどに動かされる群集心理の怖さ、おろかさ、これが一国にまで及ぶものだ、と気づかされたことか。

追記 東京電力は復活する、円高は一時的だ、と信じ、わずかながら東京電力の株、豪ドル建て債券を買った。吉とでるか、凶とでるか。またここの私の見方は3月16日現在のもの、情報が加わるに連れて私の見方も変わるが、其の時点の見方が大切と考え、そのまま掲載する。

註 ご意見をお待ちしています。
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読者からメールをいただきました。

電力は発電単価の問題でも圧倒的に原子力は安いはず。
基幹産業の電力単価が高ければ産業全般にわたって競合力を失う。
そういう道を選ぶか、危険を冒してもジリ貧を避けるかは国民の決心しだいだと思う。

ただいずれにしても直近は原子力をさける方向に向くだろう。

ただ惰性で長期にわたってこの方向では心配だ。
この国の舵取りの難しさはそこにある。

ここでは信念のある指導者が必要だ。
原爆がいやだ、戦争がいやだということで戦後数十年やってきたこの国も
どうもそれだけではすまないようになってきて居る。

そこにまた原子力がいやだが加わるのはさらに道が狭くなるような気がする。
戦争はいやだけど、やるなら負けないように準備しようとか、原子力は危険だけど、今回の経験でさらに安全度を増す工夫はないかなどと考える方向もある。
いずれにしてもどういう思想でやるかは国民の選択だ。
ただ指導者たるものはいずれかの時点で梶をきらねばならない。
それは今の内閣には期待が出来ないだろう。