952「今こそ都市ガス等による発電の普及を」(3月30日(水)晴れ)

引退した老人であるから細かいことはよく分からない。しかし色々想像することは出来る。
今度の地震は想定外であったが、しかしこのことは、どんな想定外のことが起きてもナントカ対応できる必要性をあらためて考えさせた。
石原都知事が今回の地震は「天罰だ。」と言って物議をかもしたが、想定外の事件を少々忘れていた、ということに対する「天罰」と解釈するなら少しは当たっているかもしれない。

原発事故は想定外の最たるものだが、想定外という考え方に思いを馳せる。
福島原電についても二台あった非常用電源自体が動かなくなってしまった、其の部屋に浸水してしまった、等というのはどこか非常時を軽く見ていたのではと考えられ、いただけない。
しかし福島原発の事故に隠れて、余り報道されていないけれども、東京電力自体が火力の設備にかなりの余裕を持っていた。それがあるからこそ、この夏こそ需要にとても対応できない、というが、来年になればナントカ成ると考えている様に見える。其の点はよかった、あるいは立派であった、と認めたい。
電力消費者からみれば計画停電がとんでもない想定外だったのではないか。長い時間の停電・・・・・そんな言葉は空気のようにいくらでも供給されるものだから忘れていた。そして何でも電気にしておけばきれい、安心と信じていた。オール電化住宅、電気自動車、煙をださぬ工場、そんなものに現を抜かしていた。

ところでそれが裏目に出てこんな事態になっても、悠然と構えている大工場がある。電力システムとあわせて都市ガス等による自家発電システムを採用し、自ら電力を起こし工場の使用分をまかなうなどしていた大口需要家である。更には余分に電力を製造し、東京電力その他に下ろしている会社もある。そういうところは受けに行っているのではないか。スポット価格が、国際的な原油価格の上昇とあいまって、上昇しているとも聞いている。
これに比べ先日「計画停電が起こると、わが社の製品は長い時間連続で電気を使わなければならぬから製品が出来ぬ。」とぼやく経営者が放送されていた。それだけ重要なら、なぜ非常用自家発電源で対応できる体制を日ごろから作っておかなかったのか。電力の供給がなくなることがありうる、自社工場は絶対に止めたくないというなら、法で定める以上に非常用電源の確保を日ごろからモット考えておくべきでなかったか。

しかし起こってしまったことを悔やんでも仕方がない。今後どうするべきか。一つ提案したいのはエネルギー供給を国家の根幹にかかわる問題と捉えるべきだと考えることである。電力会社とガス会社、場合によっては石油供給会社はシェアの取りあいをするよりも、国のエネルギー供給を担っていると認識し、互いに協力し合うべきではないのか。
特に大量に電力を使う需要家について、都市ガス等による発電の普及、非常用電源の強化に加えて、吸収式冷凍機の普及などももっと考えるべきだ。最初の二つは工場等にエネルギー供給ソースをダブルで持つことにより、非常時に備える、という意味が大きい。もちろんそれによって発生する熱を利用することが出来れば採算の点から見ても大いに有効であろう。今年の計画停電で思ったこと、鉄道が止まったことが社会的に大きな影響を与えた。しかし鉄道会社はなぜ二つ以上のエネルギーソースによる電力供給システムを十分に備えていなかったのだろうか。己が活動を停止した場合に与える社会的な影響の大きさを考えれば、もう少し慎重であるべきであった、と考えるがどうだろう。また電力需要のピークは夏にやってくる。冷房需要が大きいからだ。それに合わせて夏場に需要の少ないガスあるいは石油で吸収式冷凍機を動かし、冷房需要を幾分でも補えれば、電力会社の負担軽減になるのではないか。
考えてみれば、大口に限らず一般だって計画停電なんて考えたことも無い日々が続いていた。しかし終戦直後を考えてみれば、しばしば停電は起こった。対策に人々はろうそくなどに加え自家用発電機を用意したものも少なくなかった。家庭にすべて、とまでは言わぬが、大規模団地、集合住宅、大規模商店、工場等ではモット考える時がきたような気がする。

ただ最後に私の第六感。当たるという保証はない。しかし今年の夏の計画停電は余り起こらぬような気がする。計画停電がどんな迷惑なことかは東京電力も産業界も大口需要家も十分承知している。それゆえ東京電力はシャカリキになって、節電や休止している発電システムを動かしてもらうなど需要家に要請するだろうし、需要家も協力するだろう。こういうとき日本人とは案外よく纏まるものである。それに東京電力は技術の会社、技術屋は比較的安全サイドで物を言う。それゆえナントカするのではないか、と期待するのである。

註 ご意見をお待ちしています。
e-mail address   agatha@ivory.plala.or.jp
ホームページ    http://www4.plala.or.jp/agatha/