東京電力の株を買ったのは、どうやら失敗だったようだ。700円余りで買ったが、今は400円台、わが身の不明を恥じるばかりである。原発事故が一向に解決しない話もさることながら、実は「東京電力をつぶすべきだ。」との議論が沸き起こってきた、結果、東京電力は、最悪日本航空のようになり、株は紙切れになる、との噂が流れ始めたからだ。
知人に建設省の役人でその後東北大学の教授なども勤めた優秀な人間がいる。その彼が、「つぶすべきだ。賠償を払ったら債務超過になるもの。分配金どころか、株主から金を払ってもらわなければ成らない。関西電力と一緒にし、周波数を全部関西式にすりゃいいんですよ。」などというから大議論になった。
いろいろあったが私の考えをまとめておく。
まず今回の事故が想定外であったか、なかったか、という議論。
想定外であった、ということになるが、正確には科学的には想定されていた、しかし経済的側面を考えて想定範囲を決めて発電設備を作った、其の想定を超えていた、というべきであろう。その認可を与えたのは政府である。
この場合政府が責任を取るべきか否か。
原子力損害賠償法では、大規模な天災の際は国が補償することになっている。今回の場合は、国が全面的に支援しなければならない。これに対し「それは隕石の落下であるとか、テポドンの襲来などだ。」と早々と枝野長官が発言、その結果すべてが東京電力の責任であるかのごとくしてしまった。原発処理でそれどころではない東京電力は何もいえぬ。しかし百歩譲っても、まず被害額を確定することが先決である。それが出ぬうちに官房長官ともあろうものが、軽々しく国に責任がないと叫ぶのはおかしい。
東京電力の負担にして、それが大きいというのなら、電気料金を上げるべきである。電力料金は、原価主義が建前であるから当然である。
実は税金で東京電力の災害の補償をするというのは国民全体で負担、電気料金で負担というのは都民など東京電力の使用者が負担、ということになる。仮に電気料金をKWHあたり10円上げれば(現行の6割程度の値上げになろうか。)、東京電力は3兆円近い収入増に成る。これが毎年である。賠償額が相当になろうとも飲み込めるのではないか。
考えてみれば、電気は恐ろしいくらい使いやすい便利なエネルギーだ。高いのは当たり前だ。毎年政府は省エネルギー運動をやるではないか。あれはまったくまじめにやっているとは思えない。まじめにやるならエネルギーの料金を上げるべきだ。そうすれば人々は節約する、工夫する。その意味でも電気料金を上げることは合理性がなくはない。庶民も産業界も困るではないか。当然そういう議論は起こるだろう。しかしその責任は政府だ。自分がやるべきことをやらないで、電力会社におしつけた結果ではないか。
基本に民間とはいいながら、政府は電気であるとか、ガスであるとか公共性の高い企業は育ててゆくべきだ、と考えている。それを債務超過になりそうだからつぶしてしまえ、どこかと合併させろ、などと安易に言い出すのは基本的に間違っている。省庁の権力や自分のポストをこれを機会に増やそうとしている薄汚い根性だ、位に見える。
件の知人は、50・60サイクルの話は、東京電力と関西電力を一緒にして、順次関西電力方式に切り替えて行けばいい、と言う。「出回っている機器をどうするのか?」といえば、世の中の機器は、ほとんど50サイクルでも60サイクルでも使えるようになっている、わずかに小型業務用機器などに使えないものがあるが、それは供給区域を得た方の負担で調整すべきだ、等とする。間違っている。いづれのサイクルが妥当か検討したうえで、両社の供給区域を変更することなく、それぞれが行なえばいい。変電所の工事が大変だと言うが、見積もったわけでもあるまい。
九電力体制を崩した場合の利点は色々挙げられよう。しかし欠点もあるはずだ。それらを十分に今回の事故とは切り離して議論するべきだ、と考える。
最後に今後日本の電力ソースをどのようにするべきか。自然エネルギーでまかなう考えは無理にしても、火力主体でまかなうことは考えられよう。件の彼は「二酸化炭素が地球温暖化の原因である、という話はもう破綻している。しかし中国に公害を撒き散らされては困るから、どの国も看板を下ろそうとはしない。日本がさっさとおろせばいい。」という。おろしてもらえるなら、おろしてもらえばいい。1年かそこら前に大見得を切った鳩山さんにでも登場してもらって・・・・。しかし私個人としては、可能ならば原子炉等の安全性を今回の事故を教訓に高めた上で、原子力を再び用いざるを得ないように思う。
追記 その後の動きで、東京電力をつぶすという議論は沈静化しているようで一安心。国が立替え、東京電力が長期にわたって返す、ということのようだ。国の負担、東京電力の負担をどのようにするか、という議論は、今後に待つが、東京電力は年間2000億程度の資金を出すことになりそうだ、と報道。全部電力料金に跳ね返しても5%に行かぬ。東北に原子力発電を置いてもらって、安い電力料金を享受してきた東京の人間が、このくらいの負担をするのは当然のことと思う。
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