962「日本のエネルギーの将来に思う」(5月1日(日)晴れ)

福島原発が大被害を受け、原子力発電そのものに疑問を投げかける声が多い。電力は不可欠であるが、火力は二酸化炭素問題、自然エネルギーは少ない、ならどうすればいいのか。当局の判断を待つより脳のない一般庶民だが、それなりに考えて見たい。

まずは原子力。絶対安全な原子力発電所は作れるのか、作れるとすればどんなものなのか。
答えは明らかである。そんなものは無い。テポドンが飛んでくるかも分からないし、地殻変動で日本が沈没することだってないとはいえぬ。
しかし地震、津波等にせめて火力発電所なみに安全に出来ぬものか。
私が考えたのはまず地下に作ることだ。そして其の上をヤマのようにして覆ってしまい、名部は完全に水等が入らぬような構造にしてしまうことだ。津波はやってきても上を通過してしまうだろう。この考えは、そもそも太平洋側に作ったことが間違い、大津波の可能性の低い裏日本、あるいは瀬戸内海沿いに作って日本全土に供給すべきだ、との議論があるかも知れぬ。第二に免震構造にすることだ。ビルなどでは構造物の下にばねを置き、地震の揺れをそれで吸収してしまう構造にしている。地下に作れば、横方向からの揺れも気になるかもしれない。それなら壁にもばねを設置する必要があろうか。これに非常用電源の問題が加わるが、」こればかりは複数化する、外部の安全なところにおくなどで対処せざるを得まい。
第三は少し極論かも知れぬ。廃炉を前提として作ることだ。永久に劣化しないものと言うのはない。しかし今まで私たちは廃棄するときのことを余り考えないで物を作った。自動車だって家だってそうだ、まして原子力発電所など、ということに成るが、やっぱり最後はたとえばコンクリートで固めてしまうとするなら其の方策を考慮に入れたものを作るべきではないか。
基本的には以上三点だが、ある人が「テロに乗っとられる危険がある。」と書いてきた。これは火力発電所でも同じ。テロ団体が原子力発電所を占拠したとしてもそれを武力に変える・・・・たとえば原始爆弾を作る、などの技術があるとは思えない。
原子力はこれらに加えてまだ使用済み燃料の処理方法、プルサーマル技術など実用技術的に確立されていない分野も多い。原子力発電が多く利用される理由は安いからである。しかしこのような絶対安全に近い設備を前提に、しかも廃棄物にかかるコストも計算に入れた場合、どうであろうか、もう一度検証してみる必要がありそうに見える。

火力についてはやはり二酸化炭素問題が残る。こちらに方向転換するのなら、あの25%削減は誤りであった、と世界に向けて宣言する必要があろう。また本質的に二酸化炭素の増加が、地球温暖化にどの程度影響するのか、も検討する必要がある。あれはヨーロッパの丁稚上げだ、発展途上国の輸出を抑えるための手段だ、中国の公害垂れ流しを牽制するためだ、等の議論があるが、素人にはどうも分かりにくい。また分散型電源の普及についても、電気は、空気のようにいつもあると考えた従来の思考方法を改め、二酸化炭素の発生問題と今回のような事故の両面で考える必要がある。

太陽光発電、風力発電についてはよいことばかり報告されている。
太陽光についてはかって海に太陽光パネルを並べればよいではないか、との議論があった。数字を忘れたが、日本全土沖合いまで太陽光パネルを並べれば、日本の電力はまかなえる、という議論であった。しかしこのような方法は、パネルの下が死の海になりかねないこと、それに今度のような大津波が来れば皆ひっくり返ってしまうではないか、との議論がある。内陸に作れば、それはそれでよいけれど、その分土地が有効に利用できなくなる。景観を乱す。
また一つ忘れてならないのは太陽光パネルを作るときに要するエネルギーと其の寿命の問題である。パネルはシリコンを溶かして作り上げる。多分1500度とか2000度と言う温度であろう。とすれば其のエネルギーはどのように供給すべきか。またいづれは張り替えねば成らぬ。ライフサイクルエネルギーと言う言葉がささやかれた。太陽光発電について議論するときには、必ずこの考えが必要に思う。
風力は、もともと太陽エネルギーが作り出したもので少ないうえ、適した面積がどれくらいあるか。またこれによる公害の問題も実は考えねばならぬ気がする。友人で蝶々が趣味の男が言っていた。「アルプスに風力発電を設置しようとしているようだ。しかしあんなことをすれば、蝶々の住処はどうなってしまうのだ?」
いづれにしろ、今回の地震が、電力のみならず、ガス、石油、自然エネルギーを含めた日本のエネルギー供給のあり方そのものを見直すよう迫っているように感じる。

(後期)菅さんは、とうとう浜岡原発の停止を要請した。今後の日本のエネルギー政策はまだまだ定まっていないように見える。

註 ご意見をお待ちしています。
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読者から次のようなご意見をいただきました。

浜岡原発の運転停止が決まったようですね。
絶対安全な工作物は原発に限らずあり得ないと私は思います。
安全は相対的なものではないでしょうか、都市ガス事業に関しても、家屋が倒壊してもガスの配管だけは損傷が無い安全性を保てと言うのはナンセンスだと思います。
それと同様、原発においても核戦争、テロ、隕石の衝突等の場合はそもそも地域の生存が危うく原発の安全性を議論するのは意味が無いのではないかと思います。
それでも、今回の津波被害に対する原発の安全対策には疑問を感じています。今回に匹敵する大津波が過去に有ったとのことです、後知恵かもしれませんが、原子炉本体の耐震構造には万全を期していたかもしれませんが、津波による冷却機能の喪失に対しては油断が有ったのではと感じています。
それと、絶対に原発は安全だと言い張って、今回のような異常事態を想定していなかったこと(地元対策も有るのかもしれませんが)にも疑問を感じています。
何事にも絶対は有りません、「炉心溶融」が起きた時の対策もあらかじめしっかり立てておくべきだと感じました。(有ってはいけないことにもやはり対策は立てておくべきです)
それと、原発はコストが安いと言う議論には、やや疑問を感じています。原発のコストをどこまでカウントするのかで大きく違ってくると思います。
廃炉の費用、核燃料廃棄物の最終処分費用等、ライフサイクルエネルーギーコストを考えると、コストだけで原発を採用したというより、日本の「エネルギー安全保障」政策が大きく関係していると思います。エネルギー自給率(原発は準国産エネルギーにカウントされています)を上げるための国策ともいえると思います。
私の意見ですが、エネルギーは有る一つに頼ることなく化石燃料、再生可能エネルギー(これは量的にはまだまだですが)など多様なエネルギーのベストミックスを志向するべきではないかと思っています。それと最後に今後の原発の運用に関しては、原発は無くてはならない重要なエネルギー源だとは思います。今回の事故やさらに今後想定される災害(想定の範囲を拡大しなければいけません)に対する対策をしっかり立て基幹エネルギーとして活用するべきだと思います。
ただ、今回の事故の対応を見ていると、原子力すなわち国と言う構図が見え隠れします。原子力発電は国営に移管するのも一つの方法かもしれませんね。