GDPに対する借金の比率が先進国の中でトップ、そんなひどい財政状況に追い討ちをかけるように東日本大震災、何故円安にならないのだろう、と不思議に思う。
日経ヴェリタスに「円安を阻むからくりに迫る。」なる記事。
早速、丸善まで行って買ってきた。(この新聞は書店で扱っていない。)
全面的に引用し、私なりにまとめてみた。
第一は「巨額の外貨資産が恩恵」
円安派は、大震災によ生産の停滞・・・>輸出の縮小・・・>円買い・外貨売りの縮小・・・>円安と考えていた。
実際貿易収支は輸出が減る一方、資源高による輸入が増え、悪化している。しかし為替相場に影響を与える「経常収支」は大きく黒字になっている。これは「所得収支」の恩恵だ。これは日本の機関投資家や個人投資家が海外に保有する利子・配当金をネットで現した数字、毎月1兆円前後の黒字(輸出額の2割近くに相当)と、高水準で推移している。貿易収支の悪化を所得収支のプラスが補い、経常収支の黒字が続く構図はすぐには崩れそうもない。
日本は対外的な債券大国、政府・企業・個人の対外資産残高は2009末時点で前年比18%増の266兆円、中国が猛追しているものの167兆円でまだまだである。
次に「国内で国債保有、影響は限定的」
もう一つ円安派が描いていたシナリオは一段の財政悪化・・・>日本売り・・・>円安のシナリオ。実際GDPに対する公的債務残高は200%を突破、あのギリシャよりも格段に悪い。しかし外国人による日本国債の保有比率は6%と低い。ギリシャ77%、ポルトガル80%、アイルランド81%である。国内の金融機関や個人が国債を抱えているため、外人が日本国債を売っても直接的影響は少ない。
最後は「ドル買い介入のリスク分散で新興国が円の買い手に」
意外な買い手といえるのが新興各国の政府や中央銀行。各国は自国通貨高を押さえるためにドル買いの為替介入を実施。結果的にドル資産が膨らんだため、リスクを他通貨に分散させる必要がでてきた。財政問題を抱えるユーロや経済不振の英ポンドを避け、消去法で円がえらばれてきた。実際中国は3月末に3兆ドルを突破し、ブラジルも3000億ドル台にのせた。
世界全体では2010年末に9兆2600億ドル。10年前の4.5倍に膨らんだ。其の中で円の比率は10年末で3.8%、前年の2.9%から一気に上昇している。
しかし・・・・、と報道は言う。
為替相場は時に、出入りが激しい投資マネーの動向によって流れが一変することがある。何かのきっかけで海外の投資家が日本株を買わなくなったり、日本人が円資産に見切りをつけて外貨資産を膨らませたりすれば、円安方向に大きく振れる可能性もある。
震災後円相場が急騰する中で、円買い材料として噂されたのが「リパトリエーション」。国内保険会社などが保険金の支払いや損失の穴埋めに海外資産を売却し、資金を円に換えるから円高と考えたのだ。しかし実際は彼らは利回りが高い外貨資産を温存し、円債を売却する方が合理的と考えたのだ。今ではこの話は海外ヘッジファンアドが自らの円買いポジションが有利に市場ではやし立てたもの、というのが通説である。
今では機関投資家の一人は「財政赤字を抱え、震災の影響もある円のリスクを積極的にとる動きは限定的。」とし、生命保険会社の一人は為替ヘッジなしの外債を積み増し「円安方向に動けば為替差益を期待できる。」としている。
ただ逆に言えば、何らかのショックで相場が円高に振れた場合、反対売買を余儀なくされ、円の上昇を加速させるリスクにもなる。大体以上のような話であった。
・・・・・・・・・
私は通貨ほど先の見えぬものは無いような気がする。私の失敗談。
ギリシャ不安がささやかれたときであった。ユーロが大暴落した。証券会社が電話してきた。「このままでは1ユーロ=1ドルになりかねませんよ。売った方がいいですよ。」私はユーロを豪ドルに変えた。しかしこのとき豪ドルは値上がりしていて1ユーロ=1豪ドルくらいで変えてしまった。今となっては大損である。
絶対的に強い通貨など何もない。ユーロはギリシャ問題など、ドルは金融政策、豪ドルは資源安、中国不況、ブラジルレアルは資源安、それゆえ難しい。しかし基本的には私は外貨の持ち高をゆっくり増やしてゆきたい、と考えている。
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