971「発電と送電の分離」(6月5日(日)曇り)

次のうち他のものと違うものはどれか。
(1)電力 (2)ガス (3)水道 (4)郵便事業 (5)鉄道

日本の電力料金は高い、これは電力会社の地域独占が認められているからだ、発電と送電を分離し、自由化すべし、との議論が聞かれる。さらに推進論者は欧米では実際に実施しているところもある、九電力体制は進駐軍の押し付けたものだ、等とも言う。
こういう論者はさらに、将来は電話のように全国に電力網ネットが出来、消費者はどこでも自由に使えるようになればいい。これによって電力料金が安くなることはNTTに無理に電話線を開放させて、他業者が自由に後入れられるようにした結果を見れば明らかだ、サービスは向上し、値段も安くなったではないか。

しかし私はこの議論に疑問を持っている。
一番の大きな理由は供給設備の問題だ。ガス、水道、下水と同じで、あれには多額の設備投資と設置面積を擁する。地上の場合、電柱がいるし、あの景観を壊す送電線がいる。地下に埋めても膨大な空間と設備費用。それらを自由化されたからダブルで持つなど考えられない。水道管をダブルで持てと言うようなものだ。
そのように考えると電線を持つ会社は一つにならざるを得ない。すると電力製造会社がいくつあっても、同じ送電線を使うことに成る。消費者は電力製造会社の選択などできるわけがない。流れた電気に区別はない。
結局は電力製造会社は地域を独占する送電線管理会社に電力を売ることに成る。それなら今の制度の延長で十分対応できるのではないか、と考えるからだ。
もう一つの持つ問題は電力の持つ公共性である。
時々、回線が集中したため等の理由で、電話等使えなくなることがある、其のたびに会社は「ご迷惑をおかけして。」と謝る。しかしそれですんでいる。しかし電力でこれが起こったら大変だ。今夏電力不足が叫ばれ、上から下まで節電キャンペーンが行なわれているのはまさにそのためだ。大停電になれば鉄道は止まり、町は真っ暗、企業は大損害、国会審議もストップ、犯罪が多発、など恐れられているからだ。しかし逆に言えば、東電たたきがさかんだが、そんなことを起こさぬように、同社が長年努力して結果に他ならない。この点について改めて感謝せねば成るまい。そしてこれを維持するためには、送電網の維持管理、電力の質の問題の管理などが重要であることは当然である。

もっとも電力製造部門での自由化は大いに推進すべきである。工場での発電、太陽熱発電、地熱発電、風力発電等々。これらの電力の買取の是非、買い取り価格等についてこそ行政の更なる指導が必要と思う。電力価格の公正な比較であるから、原子力は今回の事故まで気がつかなかったようなコストも強制的に入れるよう指導すべきであろう。
ここまで薀蓄を述べれば冒頭の問題の答えは分かるであろう。こういう問題は考え方によって答えが違う。私のガールフレンドAさんは(3)の水道、これだけお役所がやっていると言ったが、私の考えでは不正解。(4)の郵便事業である。

他のものはサービスを提供するために膨大な設備投資、特に供給面でのそれが必要である。そしてそれをダブルで持つことは国民的損失である。郵便だけは集める場所と配るサービス機関を増やせば対応できる。これと似ている電話が簡単に自由化できたのはこの送電に当たる部分が電話線一本、さらには光ケーブル、はなはだしくは無線との組み合わせとどんどん簡単化された結果にほかならぬ。
鉄道は、民営化はしたが、膨大な設備投資を勘案して他の企業が入り込む余地はほとんどない。それゆえ、電力供給体制に似た、民間事業が行なうものの、料金は認可制である。さらにとめてはいけない、採算の苦しいところでも出来るだけ維持することが求められるなど多分に公的な側面を要求される。まさかそのようなことを言う者はいないと思うが水道の民営化、自由競争の導入など考えたくも無い。ガスも電力に似ている。こちらは実は一時ささやかれたことがあった。ガス会社の持つ道管網を自由に利用させるべきである、そうなれば我々は東京湾に基地を設けそこに天然ガスを供給する・・・・この考えが実現しなかったのは当然の成り行きである。

最後に余談。小さなアパートを経営しているがそこには電話、テレビ、パソコン用にNTTとJCOMがすでに入っている。ところがある女性がKDDに申し込み、KDDが専用回線を引きたいと言ってきた。私はその女性にお願いして、KDDを断ってもらった。好き勝手に引込み線をどんどん入れられては私のアパートはスパゲッテイ人間みたいになってしまう!ガス、電気、水道等もこんなことになっては困る!

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