一泊で同期のA君、B君と熱海の初島に行くが、A君の話によるとB君が私に「投信の話を聞きたい。」と言っているとか。投信については、経験から「言いたい呟きのタネ」を沢山持っている。少しまとめてこうと思う。
第一に投資信託は証券会社や銀行が是が非でも売りたい商品であること。
なぜなら株式手数料が競争によって大きく下がってしまった現在、多分一番利幅の大きい商品と思うからだ。大体3%の手数料、1000万円買えば翌日には970万円になる。会社は右から左で30万円、悪くない!しかもブラジルのような場合には其の国の投資に対して数%とるから、あっという間に財産は減る仕組み。それゆえに店員は薦める。
第二に店員は驚くほど知識がない、ということ。私が最初に買った投信はワールドリードオープン。基準価格は、過去順調に上がってきていたが、そのとき下がり気味であった。外務員のおばさんは言う。「あら、少し下がってますわ。今が買い時。」世界、特にアメリカの不動産ファンドで運用している投信。買ったあとどんどん値下がりした。リーマンショックである。実は危ないとささやかれ、そのため下がっていたのであった。また別の信託はある銀行の株価をベースに支払われるものであった。ところが店員は現在の株価すらはっきりしらない。そのくせ「上がりますよ、上がりますよ。」と繰り返す。
第三は商品の内容を熟知していないし、其の商品の不利な点を隠す。そして後に説明不足を突くと資料を渡したじゃないか、という。後の訴訟を恐れて厚い資料を客に渡さねばならぬことになっているらしい。さきの株価ベースの商品で私は「株価が下がったらどうなるのだね。」すると店員は「株式で補償します。」後日私は基準価格を定め、其の価格で買える株式を割り当てると言うものであることに気づいた。つまり基準価格が200円で株価が100円になれば半分しか補償されない。基準価格を割れば投信の利子も極端に低く客は踏んだり蹴ったりの商品だ。よほど自分で商品を研究してから出ないと危ない。
それでも投信は魅力がある。定期預金などではほとんど利子の付かぬ現在、多少の危険は冒しても利子を取りたい。5000万あり、年間4%でまわせれば200万になる。年金に加え、これだけあれば、かなり楽になると、サラリーマンOBは期待するのである。
そこでおっかなびっくり買うわけだが、いくつかポイント
まず明日のことはわからない、ということ。
リーマンショックのようなものが起こるかも知れぬし、株価が予想外に下がるかも知れぬ、東京電力にみるような災害が起こるかも知れぬ、為替変動も大きい・・・・・そう考えれば一つには分散投資をしておくことが重要だ。それは安全度についても、為替についても。
同時に、経済の根本を理解しておくことだ。豪ドルの利率が高いと豪ドル建ての債券を良く薦める。安全か、といっても「分かりませんが元本は豪ドルで保証されています。」しかし本来なら1豪ドルが100円、公定金利が日本が0、豪州が5%出るということは、市場は1年後に1豪ドルが95円になる、と考えている向きが多いということだ。
為替についてはこれほど素人の判断できぬものはない。国の借金が多く、ムーデイズの評価が低かろうと、通信965で指摘したように、値段は需給でおおむね決まる。そしてどの国も安全ではない。オーストラリアやブラジルは資源の価格に左右され、さらに中国の景気で動く。ユーロや米ドルは言うに及ばない。日本は国の債務が多すぎると言う爆弾を抱えている。また投資に際して外貨交換に伴う手数料が大きい。米ドルが1%くらいで一番安いが、豪ドル、ブラジルレアルは更に高く、新興国ともなれば1年分の利子くらい吹っ飛んでしまう。
投信となんとなく呼ばれているものに大きく2種類ある。
一つは、元本の保証されているもの。これはたとえば世界銀行、トヨタなどが発行する。公募債。こちらは利率が補償されているから為替リスクを除けば比較的安全。ただしトヨタがどうなるか分からぬが、世の中は予想もしないことが起こる。もう一つは株式やファンドに投資するなど危険性を伴う債券。こちらはもちろん配当が振れるし、モット顕著なのは投信そのものの価格が振れてしまう。投信の実勢価格は、其の所有している資産を口数で割ったものなので有ろうか。そしてこの商品のもっともだまされやすいところは、蛸足配当である。10%配当しています、等都合のよいことを言っても実は元本を食っているらしいものが多いということだ。更に先述のEB債券のように巧みに危険性を覆い隠しながら、販売を薦める商品もある。
最後に再投資はやめたほうがいい。利子はきちんと得て、元本が常にどうなったかを見るようにしたほうがいい。一緒にしておくと投信のありがたみ(配当を受けると言うこと)がなくいつの間にか目減りしていることに気づいたりする。
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