977「中国も、庶民は似たようなもの・・・・」(7月8日(金)曇り)

もう中国旅行から帰って一週間がたった。外国旅行に行くと必ず日記を書くようにしている。1日の書く長さはこのエッセイと同じ長さ以上、結構書き出がある。
この目的のために、前はパソコンを持参した。しかし旅は軽装の方がいい気もして、最近はノートと筆記用具より持たぬ。そこで書いてきて、我が家に戻り、思い出の尽きぬうちに修正等も加えてまとめるのである。日記はようやく纏まりかけている。
その日記の詳細はここでは述べぬが、それでは今回の中国旅行で私が感じ、得たものは難であったのだろうか。改めて考えてみる。
パックツアーは、旅行をするとはいえ、ほとんど現地の人と接する機会なんかない。だから現地語、この場合は中国語など学んでも余り使う機会がない。しかしそれでもガイドや店の人、ホテルスタッフなどと接する機会がないわけではない。

中国人も日本人と同じような考え方をする、と改めて感じた。私たちがそうであるように、決して悪人ではないが、さりとてお人よし、というわけでもない。そして物事を自分の周囲に置き換えて考え、発想する。自由に振舞うことを求めている。女が強くなってきている。家族を重視する小市民が増えてきている等々。
中国人の平均的な収入は、日本人に比べまだ低い。多分、日本円に換算すれば3万か4万なのだろう。それが、ぐんぐん上がってきている。人間、少し余裕が出てくると生活を向上させ、自分が果たせなかった望みを子供に託すようになる。しかし教育費もどんどん上がっている。かって中国国民は、大体一人っ子政策は反対だったが、今では中々二人以上子を作ることが出来ぬ、とも感じ始めている。我々と少し似ている。

そういう層が考えることは、自由に楽を出来る身分になりたい、ということ。世の中は、生活費を一定と考えると、金持ちはますます金持ちに、貧乏人はますます貧乏になる傾向がある。前者は余った金から利子を得るなどさらに増やせる。多くはナントカこの層にクビを突っ込もうと頭をひねっている。株式市場が活気を呈しているのもこの類。
金を儲けるときに、原価500円のものを利子をつけ600円で売ろう、とするのは日本人
的発想のように思う。それを売れなければ10円で売れ、売れれば10000円で売れ、というのは中国人の発想に多いかもしれぬ。それゆえ、お土産などは注意しなければならぬが、倫理に反しない点で儲けたい、と考える点では基本的に同じ。
学ぼうとする心もみな持っている。私のガイドのアシスタントを勤めていた中国人女性は懸命に日本語を学んでいた。便利なもの、素晴らしいものに対する憧れも持っている。自転車で満足していた民は、電動自転車やバイクになり、今は自家用車を求めている。周囲と比較し、真似したがるところも日本人と似ている。泊まったホテルは、全部近代的だったが、中の備品はみな画一だった。他と比較して作るからではないか。
頼りになるものは家族、仲間、同胞、と考えるところは日本人以上である。これは民主主義などという考えが根付いておらず、オカミや軍隊が怖く、それらからの災厄を避けながら、己の生活を守ってゆかねばならぬ、という状態が長年にわたって続いているためなのであろう。
さりとて儒教の国であり、なかなか一旦打ち解ければ信義に厚い国民とも感じる。郷土の発展のために、自分の住んでいるところまで含めてテーマパークにしてしまえ、というのも日本人と似た発想。そしてそれを応援してくれる人には感謝を惜しまぬ。無錫では「無錫旅情」中山大三郎と尾形大作は大歓迎されたとか。
国を愛する気持ちもそれなり。国土を争えば、自国の立場に立つ、煽ればデモになる、当然のことなのかも知れぬ。うまく導くのは政治家のやること、ここでは述べぬ。
中国はバブルである、何時はじけるか分からぬ、という。「しかしそういわれ続けているうちに土地の値段は倍になった、最近では北京、上海のような中心都市から地方都市に移ってきている。」とはガイドの発言。人口も国土も日本にくらべて桁違いに大きい。それゆえバブルも桁違いに大きくなるのではあるまいか。しかしバブルの崩壊は必ずやって来る。いつか分からぬ。来ると分かっていながら、それでも騰貴に熱を上げる、そしてはじけて慌てる、多分ここも日本人と同じなのだろうなあ、と思う。
中国人が格別好きになった、というわけではない。しかし私としては今回の旅行で我々と同じ考え方をする人間と感じ、親しみをもった。

最後に私自身の得たもの、少しばかりの中国語の進歩、寒山寺等にゆき楓橋夜泊の世界のほんの一端を感じられたこと、書の世界を少し楽しめたこと、上海や地方都市の発展を見て、改めて十四億の民のエネルギーを感じたこと等であろうか。

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