秋雨前線が停滞し、うっとうしい。
3時過ぎに風呂にでもゆこうと玄関の傘を取る。最近使っていない青いジャンプ傘、どうせ雨の日にあわてて買った500円のビニール傘だ。
中を開いて驚いた。カタツムリが取りついているではないか。つまんではずすと、取りついていた部分のビニールがなくなってむこうが透けて見える。ビニールも食うのか、とつまんだ貝をのぞくともぬけの殻。脱皮でもしたのか。
カタツムリはかわいい。道路におちているのを見かけたりすると、拾ってそばのツツジなどにぶら下げてやりたくなる。しかし同時に残酷だが、こいつをエスカルゴのように食えないものか、と思う。ぽったりした肉は実にうまそうだ。
インターネットで調べると「カタツムリは世界に約10000種、日本に500種います。食用として食べられるのは4種類です。本場フランスではヘリックス・ボマテイア、ヘリックス・ルクレアム、ヘリックス・アスペルサの3種でしたが、乱獲や農薬被害により数が激減!そこで東南アジアや台湾からアフリカマイマイの稚貝が輸入・缶詰加工され、日本や海外にエスカルゴとして輸出されるようになりました。」
「高野とうふのようにふにゃふにゃした食感のものはまず、高い熱と高圧で処理された缶詰のマイマイと思ってよいと思います。本物のエスカルゴは少しのぬめりとあわびのような堅さが感じられるものです。」
この文章を読んで二つ感じた。
リスボンに少し長く出張したとき、郊外の町に出かけ、そこのレストランでエスカルゴを注文した。すると店の親父は「カラコイスか。」と聞くから、なにやらわからぬままに「イエス、イエス。」と答えた。しばくして1センチにも満たない小さな貝が皿に山盛りになってでてきた。それを楊枝でつついた。この経験から食べられるのは4種、といいうのは間違いじゃないか、と思う。
さらに幼いときに食ったという主婦の新聞投書がみつかった。
「祖母がカタツムリを食べるとよだれがとまると、私にしばしば食べさせてくれた。はじめは薬のようなものと思って食べていたが、次第においしく感じるようになり、雨上がりにはよくカタツムリを探しにでかけたものだ。」
日本のカタツムリだって食えるじゃないか!
もう一つは日本人が食っているエスカルゴはアフリカマイマイの稚貝だということ。もっともフランスかぶれしているわけではないから、どっちでもうまければいいのだけれど・・・。でもそうだとするとレストランでは殻はどうしているのだろう。フランスから殻だけ輸入して何度もつかっているのだろうか。
考えれば考えるほどカタツムリというのはよくわからない。
ナメクジとカタツムリは、もともと同じ巻貝の仲間だったが、ナメクジは陸に適応するために貝が退化してしまったのだそうだ。
カタツムリが食えるならナメクジは食えないのだろうか。
ナメクジにも何千種類もあるのだろうか。
ナメクジに塩をかけると浸透圧で水分を奪われて硬くなって死んでしまう、という話は良く知られている。それならカタツムリではどうか。やったことがないからわからない。
少し前ジャンボタニシの野生化が問題になった。ジャンボタニシとは、正式名称スクミリンゴカイの俗称である。南米原産の巻貝で、輸入・養殖されたものが、業者の放棄で野生化した。これが大量に繁殖し、植え付け直後の水稲に食害がでるなど問題になった。かれらはカタツムリとは違うのだろうか等々。
この辺は読者に知識のある人がいれば教えてもらいたいものである。
わかる範囲でもう少し話を進める。
カタツムリやナメクジは、頭部にある二本の短い触角の間にある口から、食べ物を取り込む。そこには私たちの顎に相当する顎板(がくばん)と呼ばれるものがあり、その奥にヤスリか大根おろしのおろし金のような歯がぎっしり並んでいる。これを歯舌(しぜつ)とよび、彼らはこの歯で食べ物を削り取って食べるのだそうだ。するとビニール傘もこれでごしごしやられた?
海産の貝は「えら」で呼吸をするが、カタツムリは陸貝の仲間で、「肺」で呼吸をする。
正式な呼び方はマイマイで、1年間の生活は冬眠・・・目覚め・・・交尾・・・産卵・・・幼貝・・・成長、と四季に応じた生活をする。
雌雄同体で、頭部の傍らにある生殖穴に管のようなペニス(陰茎)を挿入し、互いに産卵する。産卵は春先から夏場にかけて盛んで、1個体が30個ほどの卵を、土の中に産み落とす。種類によって異なるが、直系5ミリほどの白い球状だそうだ。
最後にカタツムリの脱皮については二つの語をandでむすび検索したところ、なにやら競馬の結果みたいなものの書いてあるページに行き着いてしまった。おかしい、と思ってその中にある飛べそうな文字をクリックしてみると、カタツムリのページに移り、
「失礼しました。カタツムリが脱皮できないことは皆さんご存知ですよね。あれはただ大きくなるだけです。」
と記述されていた。くそっ!
しかしそうだとするとビニール傘のカタツムリがからになっていたのはどうしてだろう。何か天敵がいてそれが食ってしまったのだろうか。
疑問がまたまた増えてしまった。秋の夜は本当に悩ましい。
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