995「上高地で優雅なときを過ごす」(9月6日(火)―8日(木)晴れ)

ガールフレンドのAさんは耳鳴りが激しいという。町医者に行き、大病院に入院し、それでも一向によくならず、今は漢方医にも通っている。亡妻が膠原病で長く患ったときに、妻が病気になっても、オトコなどは何もしてやれぬものと感じた。今、同じことが起こっているように感じる。
Aさんとは、ここ数年、夏に海外旅行を楽しんでいる。しかしこの耳鳴りで今年はジェットに乗れぬ、どこか静かなところに行きたい、と言う。東北など色々考えたが、たまたまJTBのパッケージツアーで「上高地清水屋ホテルで過ごす休日」という2泊3日のツアーを見つけた。彼女は今テレビで「おひさま」に夢中になっている。初日にその舞台安曇野を見物するし、彼女は上高地も初めてというので決めた。

幸い私はお天気の神様には好かれているらしい。8月末に詩吟の合宿が3日間箱根であったが、其のときは台風が来る前でよい天気であった。今回は行ってしまったあとで、再度これよりないくらいよい天気。
二日目に、ガイドの案内でホテルのあるウエストン碑近くから、徳沢まで8km近く歩くというので参加した。前方にはもちろんくっきりと穂高連峰。右手にも三本槍など・・・・。後方には焼岳がわずかに煙を吐き、威容を見せている。梓川沿いの森林道はこれらの山々に囲まれ、素晴らしい散策コース。ガイドは安曇野に住むという女性でなかなか植物に詳しい。
たくさんある紫色の小さな菊はノコンギクというのだそうだ。白い稲の帆のように見える花はサラシナショーマという。もう花が散り、くしゃくしゃと髭のように丸まって見えるのは草ボタン、こうもりがとんでいるような葉のコウモリ草、ノアザミ、ノアザミに似ているが葉が異なるオヤマボクチはそばに入れるとうまいとか。
河童橋から木梨平のキャンプ場をへて明神池に向かう。この辺で絵を描き、それを販売しているらしい者のキャンプを見かけた。上高地も色々楽しみ方がある。
この辺は高度1500mくらい、このあたりまでシラカンバ、これから上は少し肌の赤みを帯びたダケカンバが生える。ここは境目のため両方が見られる。長野の人は、これらの木の皮をお盆のとき送り火や迎え火をたくのに使うとか・・・・。カラマツも多い。大半は植林したものだが、天然のものもあり、ガイドたちは「テンカラ」と呼ぶのだそうだ。化粧ヤナギ、ムシカリは赤い実をつけている。天然の森の中、木々はみな光を求めて自分なりに生きている。イチイの木は真ん中の木を残すために枝が自然に折れるし、ツルアジサイは地面を這うものだが、木があればそれに絡み付いて上に伸びるなど・・・・・。
ところどころ地面が白くなっている、花崗岩が押し流されてきて砕け砂のようになるのだそうだ。起伏はあまりない。やがて明神池。ここまでで5キロくらい。「疲れたならここで戻ってもいい。」とガイド。Aさんに聞くと、体調がよくないようなので、神社を見て戻ることにした。ここで戻っても往復なら10キロ近く、かなりの距離。

上高地には今までに二度来たことがある。最初は学生時代、新島々からバスでやってきたが宿探しに苦労した。二度目は20年位前、亡妻と来た。其のときは高山、奥穂高温泉でそれぞれ泊まり、こちらにバスでぬけてきた。「もうすぐ安房峠にはトンネルが出来、便利になる。」と言っていた。今回来るときに其のトンネルのありかを教えてもらった、「ああ野麦峠」の舞台になった山道もずいぶん便利に成るもの。
最初に来たときに明神池と神社を見物した。ひっそりした林の中にある池がひどく印象に残っている。今回は、明神館などもオープンし、少し開けたようだが、基本的には変わっていない。左岸ルートを通ったから、橋を渡って右岸にゆくと思い出の神社。それにしても梓川の川の水のきれいなこと。手ですくって飲みたくなるくらい。帰りは下りに成るせいかあっさりと戻ってくることが出来た。「私たち、こんなに登ったのかしら。」とAさん。

この旅行、初日は安曇野散策。大王農場というわさび農場、それにワイナリーをめぐった。前者ではあの「おひさま」のロケに遣われた家があった。テレビでは豪華に見えたが実物は後ろが鉄骨向きだしの妙なものであった。
三日目には、出発前のひと時を使って、田代池、大正池を散歩した。こちらはびっくりするくらい水が少なくなっていた。大正池は大正4年の焼岳の噴火で出来た溶岩が梓川をせき止め出来たものだが、年々土砂が堆積するという。かきだして昔の景観を保つよう努力はしているが追いつかないそうだ。
三日間、大いに楽しんだ。Aさんの耳にも良い効果があったらなおいいのだけれど・・・・・。参加者は50−70代と思われる夫婦ばかりであった。「大人の命の洗濯」・・・・そんな感じ。いかがですか。

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