「Aさんという方をご存知ですか。彼女が知っているのは阿笠さんくらいだ。」といっています。」といわれて、私は一瞬分からなかった。ようやく彼女が旧姓Bさんであることに気がついたとき、びっくりし、またうれしくなった。
彼女は近くの中学校時代に一緒であった。クラスが一緒で席が隣であった。英語クラブで一緒であった。ときどきテニスをした。とにかく親しかったのである。元気な人であった。実家は歯医者に医療器具を卸すような仕事をしていた。彼女は私の憧れの女性の一人であったが(どうも私の調子のよすぎるところ?)、大学時代の同級生と結婚した。そして婿さんとその仕事を引き継ぎ、同じ場所、つまり妙正寺公園のそばに住んでいる。二十年も前のクラス会の折、彼女は「それなりに小金を儲けて・・・・。」などいい、幸せそうであった。3年位前に偶然会ったから「ラジオ体操にもおいでよ。」と誘ったが「その時間にはまだ寝ている。」とのことであった。ご亭主は、朝早くから車の手入れなどしているのをよく見かけるが、彼女は余り見かけなかった。そのうちに歯が悪くなって手術のため入院した、と聞いた。少々心配していたが、出てくるなら健康に違いない。
今日は妙正寺ラジオ体操会バスツアー。東京ガスの根岸工場を見学するのだそうである。出身会社の工場を見学にゆくのに、参加しないわけには行くまい。ただし仕掛けたのは私ではない。B老人である。九十近い、ラジオ体操に来るのを一つの生きがいにしておられるようだ。彼の経営するガス器具販売会社はガス会社の下請け業務をやって成長したが、最近東京ガスがグループ経営を重視し、資本を出資し、一体化させたようである。その会社が全面的にバックアップということに相なったらしい。
非常に盛況で参加者は80人、バスを二台仕立てての大ツアー。女性の参加が特に目立つ。私はもちろん希望して、Aさんとならびにしてもらった。
7時半、予定通り出発したのだが、結構渋滞で、根岸工場に着いたときには10時近くになっていた。初老の男と若い女性社員が迎えてくれたが、男のほうは顔に見覚えがあった。しかし10年もたっており、こちらは平服、むこうは気がつかない様子であった。東京ガスの需要家件数が昨年1000万件を超えたこと、根岸工場は昭和41年、石油からガスを作る工場としてスタートしたが、日本で最初の液化天然ガス(LNG)導入工場となったこと、今では8割を都市ガスとして届ける一方、2割を発電用原料として東京電力に送っていることなどがビデオ等によって説明される。参加者からの質問に地震対策、津波対策に関するものがあった。
地震は関東大震災級に耐えられるよう作られているが、阪神淡路大震災の経験を受け、それに耐えられるように改修したこと、今回の東日本大地震については国の中央防災会議?の結論を受けて必要なら対応する、というようなことであった。
また津波は10mものものが来れば被害を免れない。しかし中央防災会議では、根岸工場が東京湾にあり、浦賀水道でしぼられているためにせいぜい1.5-1,8mのものしかこない、としており、それには十分耐えられる、と説明していた。
またLNGの原料ソースとしての問題は可採年数にして原油53年、天然ガス64年でそん色ないこと、メタンハイドライド、オイルシェールなど非在来型の天然ガスソースを加えれば100年を超えそうだ、等の説明がなされた。一応の説明を終えて工場内見学。地下タンク、ORVなどの蒸発機、カロリーコントロールなど説明された。昔関係していた話だから懐かしい。折からブルネイからLNGを載せたアーカット号がLNGを卸しているところであった。
さらにLNGを使ったデモンストレーション実験。メタンはー162度で液化する。これにバラの花をつければ、瞬時にコチンコチンになり手でつまめば割れてしまう。観客にはなかなか面白い実験。実は昔シンガポールでイベントがあったとき、東京ガスグループとしてこれを宣伝しようということで担当になった。しかし会場が仮設の設備であるため、火を燃やせぬ。仕方なく液体窒素を使ってごまかし実験をやった。そんな経験があったから懐かしい。
横浜中華街での昼食。ただしこれからショールームの見物に行くし、キリンビールの工場で試飲もあるというのでみな抑え気味。ショールームはやはり燃料電池、ガスエンジンを用いた家庭用発電給湯システム、太陽熱、太陽光発電との組み合わせが目新しい。
ビール工場はもうみな解放された気分。麦芽、ホップの説明はもういいから早く試飲にしようよ、という雰囲気。「説明なしでいきなりビールだけというのはないかなあ。」とは虫のいい客の一人。私はAさんと昔話にふける一方、みなとも歓談し大いに楽しんだ。しかし帰りは渋滞し、妙正寺公園には8時、解散すると何人かが猛奪取でトイレに駆け込んでいた。少し飲みすぎましたかね。
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