福田恒存訳 Hamlet 新潮文庫
第一幕
デンマークエルシノア城。真夜中、銃丸胸壁の上でホレイショーと見張りの従僕たちが見守る中、亡くなったハムレット王の亡霊を見かける。
城内では兄王の後を受けついだクローデイアス王、兄王の妃だったが今はクローデイアスの妻となったガートルード、ボローニアスを筆頭とする重臣たちが戴冠式からもどり、会議室に集っている。しかし先王の子ハムレットは打ち解けぬ様子。次いで宰相ボローニアスの娘でハムレットに慕われているらしいオフィーリアの様子が紹介される。
ハムレットは、ホレイショーに教えられて銃丸の胸壁の上に出る亡霊に会いに行く。亡霊は告げる。「お前の叔父は小瓶に入れた毒薬を、この耳の孔にたらし込んだのだ。実の弟に命ばかりか、王位も、妃も奪い去られた。非道、無惨な殺人の恨みをはらしておくれ。」ハムレットはホレイショーと共に復讐を誓う。
第二幕
ボローニアスは外国にいるレイテイアーズを気遣った後、オフィーリアからハムレットの様子がおかしいとの連絡を受ける。国王はハムレットのかっての学友ローゼンクランツ、ギルデンスターンを遣わし、ハムレットの狂気の原因を突き止めようとする。さらにボローニアスにも援助を頼む。ハムレットはボローニアスと学友を煙に巻くが、そこに悲劇役者たちがやってくる。劇の稽古を見聞、いろいろ注文をつける。一人になった後、復讐の誓いを新たにする。
第三幕
国王しきりにハムレットの本音を探ろうとするがうまく行かない。ハムレットはオフィーリアと対決、「尼寺に行け!」などの暴言を吐く。国王とボローニアスは陰に隠れてその様子を見て、対策を検討。ハムレット、芝居の前国王殺害の場を国王に見せつけてやろうと役者に注文をつけ、ホレーショと進行について相談。ハムレットますます狂気を演じる。
やがて悲劇役者たちの演劇、前国王殺害の場を見せつけられ、国王蒼白となる。国王不快とハムレットに学友たちが告げる。堪忍袋の緒が切れた国王は、ハムレットをイングランド国王の元に送ることを決意。ハムレットは、王妃を真実を語って大いにおびえさせる。その上助けを呼びに声を上げたボローニアスを刺し殺してしまう。
第四幕
国王が王妃から事情を聞き、ローゼンクランツ、ギルデンスターンをつけて早々にハムレットをイギリス行きの船に乗せることにする。さらに二人にはハムレットを亡き者とするよう厳命する。ハムレットはデンマーク港近くて領地内を通過、ポーランドに向かうノルウエイ王子フォーテインプラスに遭遇。
オフィーリアが国王、王妃に面談するが発狂した様子だ。場外ではボローニアスの息子レイアーテイーズが父はどこだ、殺人者は、と騒ぐ。国王はレイアーテイーズに「父上を殺したのはハムレットだ。近いうちに戻ってくるらしいから、決闘を申し込め。剣には毒を縫ったものを用意する。」とけしかける。そこにオフィーリアが溺れて死んだ、との悲報が入ってくる。
第五幕
墓場の道化たちの会話が死の世界の無情を訴える。イギリスから戻ったハムレットがホレイショーに真実を語る。イギリス王あての親書はハムレットを即刻殺せ、と言うものだったが、ローゼンクランツ等を殺せという偽の親書を作り、彼らに持たせ、こちらは逃げ帰って来たという。
いよいよハムレットとレイアーテイーズが決闘する。勝負がつかぬと見るや、国王は毒入りの飲み物をハムレットに薦める。それをお妃が飲み、苦しみだす。一瞬気を取られたハムレットにレイアーテイーズの毒剣が、しかしハムレットの反撃にレイアーテイーズ自身も倒れる。同時に国王をも倒す。死骸の山の元にフォーテインプラスが登場、ホレイショーが真実を告げる。
よくできている復讐を主題とした悲劇だが、ボローニアスは国王に忠実だったのかどうか、ハムレットはオフェーリアを本当のところどう考えていたのか、大体、なぜハムレットは狂気を装わねばならなかったのか、など良く分からぬところも多い。
しかしクローデイアスが先王を殺したのか、后と殺人との間に関係はなかったのか、先王の亡霊がでてくるがあれは現代流にはどう解釈すれば良いのか、など考えてみるも面白く、別の小説の原型になるかもしれない。第五幕の道化の会話などには人生観のようなものが現れ、面白かった。
・諸事御倹約、葬式の暖かい焼き肉が、冷めればすぐそのまま婚礼の冷肉に役立つというわけさ。(24p)
・腹に思うても口には出さぬ事、突飛な考えは実行に移さぬ事。つきあいは親しんでなれず、それが何より。が、こいつと思った友達は、鎖で縛り付けても離すな。・・・・喧嘩口論に巻き込まれぬよう用心せねばならぬが、万一巻き込まれたら、そのときは、目にものを見せてやれ。・・・・どんな人の話も聞いてやれ。だが、己のことをむやみに話すではない。他人の意見には耳を貸し、自分の判断は差し控えること。それからと、財布の許すかぎり、身の回りには金をかけるがいい。・・・・(31p)
・尼寺へゆけ。なぜ、男に連れ添うて罪深い人間どもを生みたがるのだ。(87p)
・つまりこうなる・・・アレクザンダ大王が死ぬ、そして埋められる、ついで塵と化す。
塵は土だ。その土から粘土がとれる。 となれば・このアレキザンダ大王化身の粘土で、ビールの樽の栓を作らぬとも限るまい(170p)
010202