マクベス          シェイクスピア


福田恒存訳   Macbeth   新潮文庫

第一幕
三人の魔女たちの不吉な会話の中、スコットランド軍が、ノールウエイ軍の謀反にも関わらず、武将マクベスの働きにより、勝利したとの報が入る。王ダンカンの悦びはひとしおで早速マクベスにコーダの領主の地位を与える。しかしマクベスは、魔女たちに将来王になる、とささやかれ、お妃にも「勇気を出すのです。」と励まされ、国王暗殺を決心する。幸い今宵国王はマクベスのインヴァネスにある居城にお泊りになる!
第二幕
ついにダンカン王を刺し殺す。しかし二人の王子マルコスとドヌルベインは殺せなかった。お妃が血塗られた刃をあらかじめ眠り薬を飲ませてあった二人の守衛の側に置く。事件発覚後、マクベスはいち早く駆けつけ、「犯人はおまえたち。」と守衛ふたりをぶった切る。マクベスはスコットランド王となった。王子たちはスコットランドを去る。
(数週間経過)
第三幕
マクベスは密かにかっての盟友バンクオーを恐れていた。わが王位を奪うとすれば彼しかいない!刺客を放って闇討ちにしてしまった。しかし息子のフリーアンスは取り逃がした。一方ダンカン殺しの首謀者にされたマルコスは、イングランドのエドワード王を頼り、ドヌルベインもアイルランドに逃れた、とささやかれる。重臣の一人マクダフも消える。不安になったマクベスは魔女に自分の未来を見てもらいに行く。
第四幕
マクベスの見せられた未来は八人の王の影とバンクオーの亡霊、いづれもが呪われていた。猜疑にかられたマクベスはマクダフの妻子を殺してしまう。イングランドでは逡巡するマルコムをマクダフが説得し、エドワード王援助の元に蜂起を薦める。そこにマクダフの妻子が殺されたとの報。二人はようやく意見がまとまる。
第五幕
マクベス夫人は良心の仮借に耐え兼ね精神錯乱に陥る。イングランド軍がひたひたとマクベスの居城に寄せてくるが、マクベスはあのバーナムの森が動くまでは大丈夫と強がりを言う。そこにマクベス夫人死去の報。さらに木々を飾ったイングランド軍が近づいたから、バーナムの森が押し寄せてきたように見えた。マクベスはイングランドの武将小シュアードを倒したものの、ついにマクダフの剣に倒れる。新スコットランド国王マルコムの誕生だ

マクベスはシェイクスピアの四大悲劇の一つとして「ハムレット」「リア王」「オセロー」と並び称されているとのことだ。しかし読み終えた感想は勧善懲悪小説の趣き。解題に「ハムレット」との比較があるが、あちらは確かに悲劇だがこちらは違うと感じた。
マクベスの国王暗殺に対する不安、逡巡、やった後の迷い、反動としての強引なやり方、反乱軍に対するおびえ、などが非常にうまく作られていると思う。(もっとも史実は違うようだ。マクベスは1040から1057年までスコットランドを支配し、武勇の誉れ高く、信仰心も厚く、国王として立派な業績を上げた。確かに前王で親戚であったダンカン一世を殺し、後にマルコム三世に復讐されたが、当時は下克上は珍しいことではなかった(130p))ただ、マクベス夫人の性格の書き方はおかしい気がする。夫に国王殺害を進め、手助けまでしたのに最後は精神錯乱などに陥りあっさり死んでしまうからだ。さらに推理小説的見方で見た場合、マクベスによる国王殺害の証明をマクダフ、あるいはマルコムにしてほしかった。

・やってしまって、それで事がすむものなら、早くやってしまった方がいい。暗殺の一網で万事が片づき、引き上げた手元に大きな宝が残るなら、この一撃が統べてで、それだけで終わりになるものなら・・・・あの世のことは頼まぬ。(30p)
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