講談社文庫
短編集。風変わりな探偵、御手洗潔の紹介を兼ねる。
数字錠
小さな看板製作会社の社長が、自社の作業場で殺された。犯人は一番若い作業員で、トラックの荷台に乗って出勤途中、抜けだし、数字錠をあけて侵入、犯行ののち車に戻ったもの。数字錠をあける数字が案外簡単に見つかることに目をつけたもの。
失踪する死者
嵐の日、隅田川を見下ろすT字型マンションに楽器を演奏するメンバーが集まった。退屈しのぎに各人の貴重品をださせ、占いをしていたところ突然の停電、久保と言う男がベランダから飛び降りたらしい姿が目に入った。電気がつくと真珠の首飾りがなくなり、まもなく久保が近くの高架鉄道で轢殺されたとの報道。
実は久保を含む窃盗グループがT字型マンションのベランダの2端に輪になったロープをかけ、盗んだ品物を移動させた。しかし内輪もめがおき、久保の相棒菜橋が久保を絞殺、死体を、ロープで移動させ、落下させようとしたたが勢い余って、高架鉄道上に落ちた。
紫電改研究保存会
宝くじ凶の男が紫電改研究保存会なる男の訪問を受ける。昔の事故を種に脅かされる様な形でその男について行くと、封筒の宛名書きをしばらくさせられたのち帰される。別段被害はなかった・・・・。
とんでもない、実は彼は気がつかなかったが、彼の宝くじが1000万円を当てていたのだ。賊は彼が宛名を書いている間に、部屋に忍び込み、はずれの券と引き替えに当たり券を持ち出していたのだ。
よくできている作品とは思うけれど、コナン・ドイルの「赤髭連盟」と同じ発想。
ギリシャの犬
ギリシャで海運業を起こし、成功した日本人の息子が誘拐された。犯人は金をもって、隅田川を往来する船に乗るよう命じる。
しかし御手洗は、このころすでに少し前に起こったおでんや窃盗事件の際にのこされたギリシャ文字を思わせる暗号から犯行の全容をつかんでいた。夜半、船が言問橋にかかると、不意に船がとまり、針金らしきものが降りてきて、ハンデイ・トーキーから
「金をそれにつるせ。」の命令。しかし一瞬橋の上に駆けつけた御手洗が犯人を川に突き落とした。
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