ナイト・ダンサー     鳴海 章

講談社ハードカバー

成田からアラスカに向かうM航ジャンボ機の貨物室から、アルミ合金を溶かす特殊細菌があふれ出し、飛行困難になり、日本に戻ろうとする。
その特殊細菌は、一人世界に警察を任じるアメリカが、日本に知られることなく奪い取ろうとしていた技術だった。
アメリカ大統領キャサリンの命を受け、米海軍戦闘機が発進され、これを撃墜に向かう。
これに対し日本の航空自衛隊も発進。
米戦闘機の発車したミサイルは、迎撃ミサイルによって落とされ、両機はいきずまる空中戦を繰り広げる。
一瞬のすきが米戦闘機の敗戦を招く。
アメリカ側の第二段階の作戦は、原子力船からのミサイル攻撃だった。
これは真相を知った日本首相が、ホットラインを通じてアメリカ大統領の説得に成功、事なきを得る。
ジャンボは、次々とエンジンが停止し、油圧系統が故障し、ふらふらの状態になり、帰還は絶望と考えられた。
しかしスペースシャトル用に作られ放置されていた雪の十勝空港にランデイング、乗客がほとんど退散した後、ホットラインの密約に従い、爆破される。
そして第三段階、ナイト・ダンサーと呼ばれる陸上自衛隊機で、米国の要請によりソ連側が出動させたものだった。
機長の遠藤はジャンボを撃墜の後、ソビエトに逃げようとするが、撃墜される。
すべてが終わった後、イスラエルに特殊細菌の技術を売り渡そうとする男が「米ソに新たな緊張を生み出さない限り、我が国の生き残る道はないんだよ。」とささやく。
緯度、経度、気圧、高度、速度などの数字とそれに基づく技術用語が難解だが、雰囲気を出している。
そしてこれに裏打ちされた中身の濃い、場面を次々に変えながらの展開の早い書きぶりが、この小説のエンターテイメントとしての魅力になっている。

・アメリカは世界の保安官を持って任じてきました。ヴェトナム以来。 ・・・・・世界の平和を守るのは、我々が未だに背負っている使命なのです。 ・・・だからアメリカだけが絶対的に優位な立場で武器にしろ、 技術にしろ保有しておかなければならない。 日本の時期支援戦闘機の共同開発が決まったとき・・・日本のメーカーは・・・ 開発を打ち切りました。分かりますか? どうせアメリカにもって行かれるんです。 ・・・・それこそこちらのねらいというわけです。(74p)