集英社文庫
「週間ホープ」の芦沢賢二は、独特の個性を持つ先輩松本に興味を持っていた。
そんな中で、日本ダービーをひかえた北原騎手とオーナーの玉木の元に本命タマキホープの出走を取り消せとの怪文書が届いた。そして牛乳中に混入した砒素によって、騎手の北原が殺された。騎手はベテラン山崎に変わったが、圧倒的に強いはずのタマキホープは4着と惨敗、勝ったのは対抗馬のセンゴクハヤテだった。
怪しい山崎が姿を消してしまった。山崎の八百長の証拠を示す預金通帳が発見される。玉木とその愛人の事故死し、タマキホープの厩舎はスポンサーだった新日本商事が引き継ぐことになった。
新日本商事社長には、賢二が嫌う、新日本商事でエリートコースを歩む兄の一郎が就任する。ついに姿を消した山崎の死体が発見された。
十津川警部等は芦沢賢二等と協力して捜査に当たり、一時は、センゴクハヤテの所有者仙石徳之助を疑うが、他の事件からアリバイが成立してしまう。それではタマキホープの惨敗を言い当てた松本では?、とも考えたが、彼は殺人は犯していなかった。犯人はこれらの殺人によって利益を得た者・・・・そう考えると兄の一郎の存在が浮かび上がってきた。
犯罪トリック等にあまり新味はないが、競馬を愛すると言う精神が全編に感じられ、その点では面白い。著者の職業経験も生きているように思った。
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