新潮文庫 Othello 福田 恒存訳
第一幕 三場
ヴェニスの町の中。ブラバンショーは娘のデズデモーナが色の浅黒いムーア人の将軍オセローのもとに走ったと怒っている。オセローの旗手イアーゴーは、キャシオーやオセローに対する嫉妬でいっぱい、どす黒い欲望を秘めながら彼をなだめる。
しかしオセローはブラバンショーと対決する。そこにヴェニス公が会議を招集との報。トルコ艦隊がローズ島に向かって進行中と言う。ヴェニス公がオセローとブラバンショーの対立を納めさせ、オセローにトルコ軍掃討を命じる。戦中のデスデモーナの世話はイアーゴーが見ることになる。
第二幕 三場
嵐のおかげでトルコ軍は壊滅してしまった。安否が気遣われたオセローも戻り、サイプラス島ヴェニス軍基地は喜びに包まれている。イアーゴーはデズデモーナが欲しくてたまらないが、まずキャシオーを倒そうと考える。夜警のおり、酒の弱いキャシオーに無理に飲ませ、失態を演じさせることに成功する。怒ったオセローはキャシアスを首にしてしまう。
イアーゴーはキャシオーを慰め、デズデモーナを通じてオセローに取りなしてもらったらと助言する。彼は次ぎにオセローにデズデモーナとキャシオーの間が怪しいと吹き込もうと考えている。
第三幕 四場
キャシオーはイアーゴーとその妻エミリアを通じ、デズデモーナに会い、とりなしを頼む。デズデモーナは喜んで引き受ける。女たちの去った後、イアーゴーはオセローに遠回しにキャシオーと奥方の関係に気をつけるよう吹き込む。デズデモーナが落としたハンカチをエミリアが拾い、亭主のイアーゴーに渡す。
ふたたびオセローとイアーゴー。イアーゴーは「キャシオーと同じ床についたおり、彼は奥方を恋しがる寝言を言った。キャシオーは奥方がオセロー様からもらったハンカチで髭を拭いていた。」などとあらぬ事を吹き込む。
オセローは嫉妬に狂う。デズデモーナは「キャシオーをお許しになって。」と主張、オセローは「おれがやったハンカチはどうした。」と非難。デズデモーナは当惑する。一方自室でデズデモーナのハンカチを発見したキャシオーはその模様が気に入り、情婦ビアンカに模様をコピーさせる。
第四幕 三場
図に乗ってイアーゴーはキャシアスがデズデモーナを相手にして「多いに慰んだ」と言ったと吹き込んだり、キャシオーに情婦ビアンカについて淫売、白粉女郎などと呼ばせ、それをデズデモーナの事と錯覚させるなどして、オセローの嫉妬心を掻き立てる。
夫の突然の態度の豹変にデズデモーナは当惑し、エミリアに、イアーゴーに悩みをうちあけ、夫に釈明するがらちがあかない。エミリアがオセローにとりなすがこれもだめ。ヴェニスからはデズデモーナの親戚ロドヴィーゴを使者として後任をキャシアスのまかせ帰国せよとの命令が来る。
第五幕 三場
イアーゴーはロダリーゴーを駆り立てて、キャシアスを切ろうとするが失敗。ロダリーゴーは、死んでしまう。キャシオーもイアーゴーに不意打ちを食らい、瀕死の重傷。
猜疑心に凝り固まった、オセローはついにデズデモーナを絞め殺す。その様子をみてエミリアが夫の差し金と知り、「あのハンカチは私が拾ったものだ。夫はしつこくほしがった。」と激白。犯行のばれたイアーゴーはエミリアを刺して逃げるが捕らえられる。オセローは捕らえられ、後任にはキャシアスがあたることになる。
嫉妬と言うよりも誤解に苦しむオセローの姿が良く描かれて、物語を面白くしている。しかし、解題にあるように、家庭問題をあつかった感じで、三文小説的な所もある。またオセローが黒人であるという点も面白い設定。現代小説として考えるとオセローはあまりに軽信的、また証拠がハンカチと立ち聞きというのは安易すぎる気もしないではない。
しかし物語としては良く出来ており、特に最期のオセローの言葉「これでも、お国のためには、多少のお役に立ったこともある。それはどなたにも認めていただけよう。…・ただどうしてもお伝えいただきたいのは、愛することを知らずして愛しすぎた男の身の上…。」あたりの台詞は泣かせる。
・そもそも女性なるものは、外に出ては、おとなしきこと絵のごとく、居間にありては、うるさきこと鐘のごとく、もしそれ台所にあらんか、まさに山猫のごとし。また悪事を働くに聖者の顔を持ってし、ひとたび怒らば悪魔の形相すさまじく、家事は怠け放題、寝屋では稼ぎ放題という代物さ。(46p)
・ 将軍、恐ろしいのは嫉妬です。それはまなじりを緑の炎に燃え上がらせた怪獣だ、人の心を餌食とし、それを苦しめ、もてあそぶのです。(89p)
010214