テロリストのパラソル     藤原 伊織

講談社ハードカバー

本名、島村圭介、仮の名は菊池俊彦。
10月のある晴れた朝、私はいつものように新宿中央公園でウイスキーを飲んでいた。
そのとき突然の爆発テロ。死者17人。
死者の中には直前話していたヴァイオリニスト志望の女の子の父親で警察庁公安課長、宮坂徹。そして昔の仲間、桑野誠。
次に私のケチなバーに現れた浅田組の3人は私を「何もしゃべるな。」と脅していった。
美貌の見知らぬ女、松下塔子も店を訪ねてきた。
その母、園藤優子が死者の中に入っていた。
実は私、桑野、園藤は69年安保闘争を戦った全共闘の仲間だった。
その後、桑野と私は車爆弾事件を起こし、警察官一人を死亡させていた。
私は当局の追求を逃れるために偽名を使ってバーテンになりすまし、桑野はフランスに留学したのだった。
私は店をたたみ、路上生活者になり、インテリやくざ浅井、路上生活者の辰井等との情報交換から次第に事件の核心にせまって行く。
江口組を影で操っていたファルテック社、その幹部に日系スペイン人カネーラ。
彼こそは桑野の変装した姿だった。
全共闘時代、桑野は園藤夕子にあこがれていたが、優子は私に恋していた。
桑野はフランス留学後、コロンビアでテロリストとしての訓練を受けた。
しかし日本大使館一等書記官宮坂に当局に売られ、獄中で死の苦しみを味わった。
脱獄後ニューヨークにわたり、そこで優子と再会、恋をした。
しかし優子の私への思いを変えることは出来なかった。
取り戻せない者は殺すという論理で優子、自分が及ばなかった私、そして何より宮坂への報復を目的とした新宿中央公園テロだった。
しかし私が真相を暴露し、大量殺人を非難すると、彼は「塔子が自分の子である。」ことを言い残して自殺する。
タイトルは優子がニューヨークで桑野と一緒だった頃作った和歌
「殺むるときも かくなすらむか テロリスト 蒼きパラソル くるくる回すよ」
による。洒落たつけかたである。
桑野は昔テロで失った腕をホルマリンづけにしておいた。
浮浪者を一人、テロ犠牲者にし、新しい血を入れたその腕を現場に放置しておいた。
指紋から死者が桑野と考えられたのだった。

・塩素酸ナトリウムだけどさ。除草剤に入っている。クサトールっていうんだよ(102p)
・爆薬はコンポジション4(C4)と呼ばれる強力な軍用プラスチック爆薬で、起爆は遠隔操作によるもの・・・ダイナマイトの約2倍の爆速を持つという。またペースト状で自由に形が変えられるため、テロリストに利用されることが多い。(209p)
・人間にも沸点がある。・・・・もっと金をつみあげていけば、どんな人間にもいつか沸点はやってくる。(284p)
・アナグラム  園藤優子・・・工藤詠音(よね)(237p)