ゼロの罠           ポーラ・ゴズリング

ハヤカワ・ミステリ文庫 THE ZERO TRAP 秋津 知子 訳

前作の「逃げるアヒル」と同様の巻き込まれ型事件。
9人の乗客を乗せた軍用機が、何者かによってハイジャックされた。
全員麻酔性のガスを嗅がされ、うたれた薬から眼が覚めたとき、乗客たちは唖然とした。
外は全くの銀世界、そこはフィンランド北部北極に近い高級別荘、彼らはそこに置き去りにされたのだ。
政府要人の娘ローラ、天文学者スキナー、モーガン夫妻と息子のテイミー、ゴード軍曹、連邦警察官デニング、殺人容疑者ハリック、ナイトクラブ歌手ラスキー。
9人がどこかに連れ去られたと気づいた救援側では、ローラの父エインズリー将軍、スキナー大佐等が中心となって、犯人側と接触するが、要求事項が金はともかく、国連で犯人の草稿を演説しろ、ある開発計画を計画しろ、オランダ警察に捕まっているある物を釈放せよなど、理解に苦しむ物が多い。 しかも、ようやく犯人がバーントという富豪の人間嫌いの音楽家であることが分かった時に、音楽家は死んでしまった。
悪いことに、9人の中にはバーントの片割れが入り込んでいるらしい。
彼らの居場所は、送られてきた生存証明写真でやっと分かった。
写真に写っている柱に埋め込まれたガラス片がモールス信号を顕していたのだ。
しかし山荘の方ではモーガン夫人が何者かに殺され、ローラが襲われる一方、発電器が故障し、山荘が火事になり、焼け落ち、全員に刻一刻と死の影がせまってきていた。
しかし破局の一歩手前で、ラップランド人の援助も相まって救出され、バーントの片割れとして潜り込んでいたウエッブが捕らえられた。


壮大なスケールで描かれ、寒さと死の影に苦しむ人々の姿も良く描かれている。ただ「なぜ、誘拐したのか。」「誘拐犯がどうして分かったのか。」「捕らえられている場所がどうして分かったのか。」といった謎解きの部分があっさりしすぎているような感じがした。