21のアルレー        カトリーヌ・アルレー

創元推理文庫 AMOURS,DELITS ET MORGUE & LE PARTI LE PLUS HONOURABLE安堂 信也 訳

カトリーヌ・アルレー短編集。その中でいくつか・・・・


愛しあって結婚した男に女ができた。男は外でならともかく我が家にまで引っ張り込み、私のベッドを使って情事を繰り返す。私は女を囮電話で呼び出し、捕縛、後から帰宅した夫共々、裸にし、抱き合わせ、夫の猟銃で撃ち抜く。他にどんな方法があったって言うの。

地獄へのツアー
1967年、ナイロビからカイロに抜けるべく、二人の男と二人の女が大した準備もせず、ごく普通のモーリスという車で旅に発つ。しかしサハラ砂漠で間道に入り、しかも車は故障。女一人が半死半生で助け出された他、全員が死んだ事件を生々しく記述したもの。

樅の木
若くして死んだ女性が棺に入れられ、埋葬され、精霊たちの世界に至るまでの流れをその女性の立場に立って記述

非常に特殊な被告
被害者4名を殺害し、殺人罪に問われている元死刑執行人ロジェ・パロワ被告の弁護士の最終陳述。死刑が廃止になり、失業した被告は釈放しても社会に害悪しかもたらさないと考えられる4人を殺害した。被告は国家に変わってなすべきことをなした、と弁護人が言う。

ありふれた事件
夜中に死んだ息子の写真を見る一人暮らしの老婆。それを聞いて世間が「あの婆さんは金を持っているらしい。」それが金のない若者の老婆殺人を誘発する。

「主の御心ははかり難し」
年取った母親が死に、猫に生まれ変わったが、飼われた家が娘の家。近くには元大佐の生まれ変わった犬。ある日事故で娘は死ぬことに。娘と死の淵で一瞬合わす目と目。

理想の相手
ある娘の告白。紳士的なイギリスの軍人がいい。そしてとんでもないお金持ちがいい。そしてさっさと死んで私に遺産をがっぽり残してくれたらいい。

他に恋人のできた夫のたくらみで、風呂場におかれた食中植物に教われて死にそうになる「むさぼるばかりの情熱」、太った妻を浜辺で殺してから後悔する「阿保は誰だ?」も面白かった。

・永代墓地の広い並木道を気品に満ちた足取りで歩けば、悲しげな顔をした男やもめの一人や二人は必ず見つかるでしょう。(308p)