創元推理文庫 KNOCK THREE-ONE-TWO 森本 清水 訳
アメリカのある小都市に表れた強姦殺人魔、すでに二人の若妻が犠牲になっていた。しかし、皆警戒しだし、今宵は2度やって2度とも失敗。フラストレーションが溜まる。
一方こちらはしがない博打好きの洋酒セールスマンフレック、賭け競馬の胴元のアミコから500ドルを返せと督促されている。しかし妻は年金の解約に応じず、友人たちも金を貸してくれない。その上情婦のもとにおもむき、宝石を失敬すると、後から私立探偵なる男が追いかけてきて1000ドルも払わなければならないはめに・・・。
さらにここに頭の弱い新聞売りのノックス。彼は自虐性が強く、強姦殺人魔は私、と警察に出頭。警察もよくしっていたが、とりあえずは監獄に・・・。
フレックは絶望してとある酒場で自棄酒を飲んでいると、見たような男。そうだ、あいつこそ強姦殺人魔だ。そのとき浮かんだすばらしいアイデア「こいつに妻を襲わせよう。そうすれば年金が入ってきておれの生活は万万歳!」アリバイを作ろうとぐでんぐでんいよって一騒ぎ、めでたく監獄に入ったが、同室のノックスは警官が自分を信じてくれない事を知っていた。ここで一人殺せば自分が殺人犯と信じてもらえるだろうと、フレックを・・・・。
一方、秘密のノックを教えてもらった強姦殺人魔はフレックの妻ルースのいるアパートにめでたく忍び込むが・・・。しかし警戒していた情人のマイコスが飛び込む。
実に物語の上手な作者だ。私は3つの話しが最後にどのように結びつくのか、見当がつかなかった。また会話に頼らず、地の文章だけで状況を説明してゆくテクニックもすばらしい。場面展開をさせるときに天国か地獄の一角の会話を登場させるのも面白いアイデアだ。
・ついでに行っとくがね、おれがデカでなくて私立探偵だからといって、君を逮捕できないと思っていると大間違いだぞ。これでも予備警官のバッチを持ってるんだ。そうでなくても現行犯なら普通の市民の資格で出も逮捕できる。(171P)