晩餐後の物語(アイリッシュ短編集 1)   ウイリアム・アイリッシュ

創元推理文庫  AFTER-DINNER STORY  宇野 利泰 訳

晩餐後の物語
 あるビルでエレベーターが落下すると言う事故があった。その時、富豪の息子が死んだが、頭を銃で撃ち抜いていた。警察は自殺と判断するが、乗り合わせた父は納得しない。 1年後、エレベーターに乗っていた全員がその老人の晩餐会に呼ばれる。
 終わり頃スープが出され老人が言う。「あの事件が他殺だった事は分かっている。誰がやったかも分かっている。私はそいつの料理に毒を入れた。死にたくなければこの解毒剤のスープを飲め。」 ついに、一人の男がそのスープを飲み干す。「スープは解毒剤ではなく、毒そのものだった。」

遺贈

 男が車を必死になって走らせている。何か犯罪を犯して、遺産を受け取った様な模様。
それを二人のギャングが襲う。彼らは男を殺して、車、免許証、それに65000ドルの現金を奪い、メキシコに逃げようとする。
 ところが妙な臭いがして、検問に引っかかる。トランクの中にあった男のケースから、見知らぬ女の死体の一部が・・・・。

階下でまってて
 婚約をした彼女は社長に頼まれた届け物があるからとエレベーターで5階にいったが、待てど暮らせど戻ってこない。調べると彼女の訪問したはずの部屋は空屋、彼女のつとめていた会社の社長は彼女を知らぬと言う。
 しかし、疑問に思った警官が調べると彼らは国際的なスパイ団。彼女に秘密を知られそうになり、彼女を襲い、幽閉し、逃げだそうとしているところだった。

金髪殺し
 新聞に金髪の娘が殺された記事が出る。それを巡って様々な噂。最後にある株屋が爪の傷がどうしようもないとぼやく。「金髪女の頸ばかり絞めつづけたからさ」怖い話。

射的の名手
 ある有名な女優のもとに泥棒に入った射的の名手は見つかってしまった。ところが、兵役に行かねばならぬ事になった女優の恋人の腕を撃つことを強要される。ところが、ところが、腕を撃ったつもりが恋人は頭を撃ち抜かれて即死。
 殺人犯にされそうになった彼を救おうと探偵が調査すると、同時にもう一発発射されていた。銃弾の口径の違いから事件は明るみに出る。

三文作家
 ホテルの静かな部屋にタイプを持ち込み明日までにカバーストーリーを書き上げると張り切った。しかし書き出すとあっちでつまり、こっちでつまり・・・。いらいらはつのる。
 そして翌朝、編集長がやってくると部屋には白紙のヤマ・・・。彼はインクリボンを入れぬままタイプを打っていた。

盛装した死体
 夫婦は別れ話が進んでいた。妻は、夫のパーテイに、1年ぶりに盛装して出かけていったが、車でひき殺される。車の所有者が疑われるが、結局は夫が犯人。
 夫にその車に乗っていたとの証書を書かせ、所有者は確かなアリバイがあるから、消去法でおまえが犯人と決めつけるくだり、ケープの下の部分だけに轢かれたあとがあった事から偽装工作をしたと見破るところなどが面白い。

ヨシワラ殺人事件
 ヨシワラに遊びに行ったアメリカ人のもとにこれもアメリカ人の女が逃げ込んでくる。「1年前にこちらに来た夫に呼ばれてやってきた。気がつくと夫が横で死んでいた。日本の警官に追われている。」と言うのである。
 あとはドタバタ、結局夫には日本人妻が出来ていて、呼び寄せたアメリカ人妻を殺そうとしたのだが、殺し屋が間違って当の夫を刺してしまったという話。日本人妻にハラキリをさせるなど、いい加減な日本認識が目立つ。

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