シルエット(アイリッシュ短編集 4)   ウイリアム・アイリッシュ

創元推理文庫  SILHOUETTE  村上 博基 訳

毒食わば皿
 金につまったペインは元の主人を訪れ、未払いの給与を払って貰おうとするが、欲を出し、金庫の金を盗ろうとしたために、彼を殺すはめに・・・。それから、誰もが自分を追っているように見え、酒場の主人、アパートに来た警官と次々殺し、本当に追われる身に・・・。死の直前、やっと列車で妻に会う。
 妻は自分で元の主人に掛け合い、とっくに金を貰っていた。

窓の明かり
 長い軍隊生活から突然戻ると、我が家のあたりから、昔の友人がさもうれしそうに出てくる。妻は浮気をしたに違いない、そう考えた夫は妻を絞殺、逮捕される。
 昔の友人は、1階上の女と結婚し、幸せな生活を送った。

青髭の7人目の妻
 連続殺人事件を担当していた刑事はジェイムス・ガーヴィのファイルを見つけた。
 ところが妹の結婚式のために戻り、始めてあった夫となる男は、刃物を見ると怖がったり、血を恐れたり、ガーヴィの特徴そのまま。のぼせ上がった妹は兄の忠告を容易に聞こうとしなかったが、新居に落ち着いたとき、ついに決定的な証拠を見つける。妹は殺されかけるが、危機一髪刑事が駆けつける。

死の治療椅子
 友人の歯医者、ステイーブを訪問すると、隣の部屋で治療中の浮浪者が突然死亡。原因はなんと青酸カリ中毒。
 浮浪者は最初見知らぬ医者を訪問したが、その彼はステイーブの繁盛ぶりをねたんでいた。そこで歯に青酸カリの包みをセットし、ステイーブに診て貰えと浮浪者に勧めた。

殺しのにおいがする
 女と話し合いたいからしばらく出て手来る、と同室の相棒に頼まれた男は外に。3時間ほどたって戻ると相棒は不機嫌。女の母からは「娘が帰ってこない」の電話、部屋と行きつけのバーには彼女のレインコートのちぎれたボタン、やがて彼女の死体発見。相棒は殺人犯に仕立て上げられる。
 しかし爪をかむ癖から真相が分かり、女の嫉妬に狂ったおさな友達が逮捕される。

秘密
 彼と彼女は愛し合って結婚したが、彼は殺人をしたことがあると告白。彼の仕事は最初は順調だったが時代が代わり暗転。彼は上司の男を恨んで退社、食うや食わずの生活。そんなとき上司が死体で発見され、妻はポケットからでた切符で夫の犯行を確信。
 しかし、別の男が逮捕され、その妻は悲嘆の底に。良心の痛みに負けた彼女は真実を警察に通告。夫は最初の殺人で逮捕されるが、上司殺しはやはり、後に逮捕された男の犯行、処刑される。言わずもがなでした。

パリの一夜

 48時間の自由を与えられて、ルーアンからパリにでてきたおとぼけ二人組。友人に頼まれたところに電話をすると「50本の鉛筆はもってきただろうな。」あわてて買って訪問すると怪しげな雰囲気、やっと逃げ出すと今度は挙動不審で警察に連行される。
一方警察ではさる令嬢が誘拐されたと大騒ぎ、それならあそこにいたと二人で救出作戦。一味は大麻薬密売団。二人は逮捕に大協力!お褒めにあずかり、コンパートメントにクーニャックを積んで大凱旋。結果オーライでした。

シルエット
 バス待ち時間にガラス窓に移った二つのシルエットの動きは殺人を暗示。やがてその家の妻が近くの道路で轢死体で発見され、裁判になった。
 私たちは目撃したことを警察に通報。しかし夫の弁護士はあれはモップが倒れたのだと説明、こちらは名誉毀損で訴えられかねない勢い。しかし私の女将さんは「轢死した女の髪型とその色は殺してから変えたもの。」と指摘。


生けるものの墓
 深夜に次々と墓を暴く男が警察に捕まる。その供述によると男はふとしたことから、人を一度墓に入れ、再び取り出し、生き返った気持ちにさせる、狂信集団の存在があきらか・・・。彼は彼らのために生きたまま墓に入れられた恋人を必死に探していたのだった。

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