悪魔のような女 ポアロー、ナルスジャック
ハヤカワ文庫 CELLE QUI N'ETAIT PLUS 北村 太郎 訳
しがないセールスマンフェルナンは愛人のリュシェーヌにそそのかされて、妻のミレイユを自殺に見せかけて殺し、保険金を得ることを計画。
ナントの別荘に呼び出し、睡眠薬を飲ませ、風呂に浸け、溺死させる。
2日後、死体を洗濯置き場に放置する。
ところがいつの間にか死体が無くなってしまった。
パリの自宅に戻ると、間違いなく妻の筆跡で「外に出ているが心配するな。」の手紙。
死んだはずの人間が生きている!他人を殺した訳はない、あれは幽霊か。
ミレイユも「良く分からぬ。」という様子。
現場近くの再訪、死体置き場の訪問など散々悩み、追いつめられたフェルナンが戻ると料理の用意がしてあり、また妻の置き手紙。
とうとうおかしくなったフェルナンはピストル自殺してしまう。
エピローグにミレイユとリュシェーヌが登場し、ミレイユが
「風呂に浸けられて死んだふりをした時は冷たかった。あの人は翌日死体を移動する時、確認もしなかった。それにあの人は私に保険をかける前に、あの人が死んだ場合に私が受け取る保険をかけたことをすっかり忘れていたみたい。」
二人はアンテイーブでのんびり暮らすことに・・・・。
フェルナンが心理的に追いつめられて行く様子が実に良く書けている。
最後のドンデン返しもあざやかでポアロー、ナルスジャックはうまいと感心させる。
・男が結婚するときは、相手の女と結婚するばかりでなく、
家族と結婚し、家族に関するあらゆる話と結婚することになる。
ジェルマンという束縛、ジェルマンのうちあけ話、
ジェルマンの細菌と結婚することになるのだ。(134P)