ハヤカワ・ミステリ文庫 THE BIG FOUR 田村 隆一 訳
この作品は、1927年に出版されたのだが、今読んでみると、まさに007の原型じゃないかと思った。新技術を開発して世界制覇をねらう謎の悪漢4人組、彼らを突きとめなければならない、しかし次々と主人公に襲いかかる彼らの魔の手、そして最後は彼らの本拠に乗り込み、捕らえられるが、メンバーの一人の裏切りで逆転、彼らの要塞の大爆発、危機一髪の脱出劇・・・かくて正義が勝利するのです。ただし、ポアロもヘーステイングスもジェームス・ボンドみたいにもてませんから、美女とのロマンスはありません・・・。
1 ヘーステイングスが南米からイギリスに戻ってくると、ビッグ4の調査にとりかかったポアロは、大富豪のエイブランドの懇請で南米に出かけるところ。これがエイブランドの罠ときづいて戻ったときには、一人の真実を知ったらしい男がビッグ4に、強力な青酸を吸入させられて殺されていた。窓を開けたら、死因は分からないとしているところが興味をひく。
2 イギリスか脱出を望んでいたダートムーアに住む老人ホエイリイが強盗殺人に見せ掛けて暗殺される。冷蔵庫に入っていた羊の冷凍肉が凍っていたところから、賊は肉屋にばけて入り込んだと推定するところが面白い。
3 ハリデイ博士が、パリでビッグ4に誘拐されるが、ポアロがロザコフ伯爵夫人を掏摸のヴェロノーと見破り、解放させた。
4 ラジウム泥棒を追跡するうち、フランスの女天才学者オリヴィエの手に落ちるが、マチン毒を仕込んだ吹き矢があるとおどして逃げ出す。この事件により、一味が人を動かせる中国人リー、財力が無限なアメリア人エイブランド、オリヴィエ、そして無名の謎の人物ナンバー4と判明する。
5 ライランドのもとに潜入するも、石切場で危機一髪の目に遭った。
6 ジャップ警部の依頼で、黄色いジャスミン事件に取り組む。この事件はペインター老人が博士になりすました男によって、惨殺され、この言葉を残していた事件である。黄色いジャスミン=ジェルセミニ根はアルカロイド系の猛毒なのだそうだ。
7 ロシア人でイギリスに住むサヴァロフ博士とアメリカの世界的なチェスプレイヤーウイルスンが対決するが、ゲーム中にウイルスンが突如死んでしまった。ビショップに仕込んだ電線に高電圧をかけ、感電死させたもので、犯人はサヴァロフ博士のもとに潜入していたと考えられたが、実は博士自身になりすましていた男。
8 ヘイステイングスが、妻を誘拐したとの連絡にひっかかり敵の罠に落ちた。助けに行ったポアロは、小型毒ガス弾を用いて危機を脱出。
9 フロッシー・モンリー夫人が、交通事故を装って殺された。これによりナンバー4がクロード・ダレルという俳優崩れの男であることが分かる。以後パンくずを拾う癖を頼りにダレルを追う。ポアロ、内務大臣等にビッグ4退治を進言。
10 テンプルトン氏が、アンチモンで毒殺されそうと聞き、駆けつけ、罠と知り脱出するが、宿におかれたマッチ箱が爆発する。ヘイステイングスが気がつくと、ポアロは死んだという。復讐を誓うヘイステイングス。
11 ヘイステイングス南米に逃れるが、航海途中で、実は生きていたポアロに会い、再びイギリスに戻る。
12 イタリアの山中にビッグ4の本部があり、そこに4人が集まるとの情報を得て二人で侵入。しかし捕らえられてしまう。ところがポアロは、第二のポアロに成り代わっていたのかも・・・。
13 ポアロは、ロザコフ伯爵夫人を伯爵の亡くなったと考えられていた息子の写真を見せて説得する。大爆発直前にかろうじて脱出。大団円。
主立った事件を書き出してみたが、派手な事件の連続で波乱万丈、すぐ映画にできそう、ただし、このうち二つや三つ欠けたって、どうと言うことはない、とも思った。
r991012