ハヤカワ・ミステリー THE CURIOUS AFFAIR OF THE THIRD DOG 山口午浪 訳
ヘンリ・テイベット主任警視シリーズ。
この物語はヘンリ夫妻が、ロンドン近郊のゴーズミヤに住み、動物虐待防止協会を運営している姉夫妻を訪れるところから始まる。近くに住む園芸家のハリー・ヒースフィールドという男が、酔って車を盗み、人を轢き殺し、服役しなければならなくなった。ドッグレース用の犬を飼っているが、その世話をすることになり、引き取りに行った。三匹いるはずと聞いていたのに実際には2匹、グリセルダという雌のグレイハウンドが消えている。
ヒースフィールドの人柄から酔ってそのようなことをすることは考えられない、調べてあげてと頼まれてヘンリ出動。轢かれた男はラリー・ローソンというドッグレースの三流賭博師、つい数ヶ月前にはラリーの競争相手デイッキー・マーシュが狙撃されて重傷を負い、病院に入っており、これらの周辺に評判の悪い酒場経営者ウエザビーがいると聞いて、彼は犯罪の匂いをかぎ取る。
グリセルダは血統の良い素晴らしい犬だったが闘争本能がなく、ドッグレースにはむいていなかった。そのころマリーンズ・ファンシーという強い犬が出産した、とのことで当分出場停止となった。そして地方レースに突然グリセルダなる犬が登場し、勝利をかっさらう。テイベットは、マリーンズ・ファンシーが出産というのは虚報で、突然グリセルダなる名前で出場しているのだと推定、証拠を集めるが途中でおそわれる。
しかし監禁されていた犬小屋を女装姿で脱出に成功、次のグリセルダ(実はマリーンズ・ファンシー)が登場するレースに罠をはる・・・・。これに相争う賭博師を戦わせて処分してしまおうという悪徳重役の話などが絡む。
物語もさることながら、女性らしい感覚のおしゃべりとイギリスの田舎ののどかな雰囲気をかもしだしている情景描写が楽しく、ベテランの技のさえを感じさせる。テイベットが女装で逃げ出す場面などもコメデイタッチで楽しい。
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