殿下と七つの死体       ピーター・ラヴゼイ


ハヤカワ・ミステリ文庫  BERTIE AND THE SEVEN BODIES  中村 保男 訳

アガサ・クリステイの「そして誰もいなくなった。」のパロデイとして書き上げた作品らしい。舞台は、イングランド有数の大邸宅デスボロー館。女主人アメリア・ドラモンドは、英国皇太子アルバート・エドワードなど上流階級の人たちを呼んで、一週間ぶっとおしのパーテイを開く。そこで女優のクイーニーが毒殺され、猟場でボーンマス公の射殺死体が見つかり、詩人がエレベーターの中で刺殺死体となって見つかり、平民のクロードが殺されて古井戸の中に投げ込まれる・・・・・・。そして死者の元にはタイム誌から切り取った月曜日、火曜日、水曜日の屍、木曜日と書いた紙片が一枚ずつ・・。
この謎に、中で絶対的権力を持つ皇太子殿下が、検死や捜査は世間体をおもんばかってすべてやめさせ、敢然と挑戦する。そして昨年猟をしている最中に、一人の勢子が誤って撃ち殺された事が発見される。その間に平民のクロードが、外の者を殺して自殺しただの、アメリアの妹ですね者のベラムが、遺産目当てで殺しただの、いろいろな殿下のミスリードを導く。
結局は死んだ勢子の姉の復讐劇で、女優のクイーニーが犯人。「パーテイでいたずらをしよう、私が殺されたと見せ掛けて優麗になって見せよう。」とボーンマス公を誘い、殺されたふりをし、次にボーンマス公を殺すという手続きをとって自分は舞台から消えていた。
全体イギリスの貴族階級の遊び、特色、考え方が良く描かれており、その意味でもこの書は面白い。
・(射殺死体で見つかった主人)執事はもし頭が良ければ、死体をすぐ銃器室に運んでくれるよう言うはずだ。(90p)
・四つの椅子を一列に並べ、靴を脱いで飛び越えて下さい。(125p)
・<牛>式かくれんぼう(128p)
・ハンターの使う罠(173p)
・犯人が館の中を見とがめられずに通って行くことがどうして出来たのか、それは召使いのふりをしていたことに他ならない。(343p)

(サユリの意見)この小説はやっぱりマザーグースの歌から取っているのよ。

A Week of Birthdays
Monday's child is fair of face,
Tuesday's child is full of grace,
Wednesday's child is full of woe,
Thursday's child has far to go,
Friday's child is loving and giving,
Saturday's child works hard for its living,
But the child that's born on the Sabbath day
Is bonny and blithe, and good and gay.

fair=公正なwoe=悲哀、災難、災いSabbath day=安息日(日曜日)bonny=愛らしい、肉付きの良いblithe=朗らかな、陽気な

r990217