どんぐり民話館         星 新一


新潮文庫

この作品で星のショートショートは1000を越えたという。本巻には31が収録されている。星の通常の作品と童話の中間くらいにくる作品が多く、夢があり楽しいがわかりにくいものも目立った。
 親切
 列を並んで待っていると誰かが内緒で先頭につれていってくれた。そこは天国への門。変化が無く、退屈だと考えているとまた誰かが秘密の力で地獄へ連れて行ってくれた。ここも順番待ちでかなわない。男は今現世で懸命に働いている。毎日が矢のように過ぎて行く。忙しいが一番、とでも言おうとしているのか。
 来訪者たち
 魔術師は王様の求めに応じて隣国を征服したり、あるいは立派なお城を造ってくれたりする。しかし魔術師がいなくなると元の黙阿弥。王様はつまらない。そこに老人の助言「この世で真に大切なものは平穏。一時の繁栄より永遠の平穏です。」王様は悟り、それから平凡なお后を迎え平凡だが平和な国を作った。平穏の大切さを教える?
 旅の人
 男は荒れ地にわずかばかりのソバ畑を持つだけで貧しい。若い女に一夜の宿を与えたが、彼女は非常に優しい。妻にし、運が向き、だんだんに発展して行く。しかし女は身の上をあかそうとしない。やがて男も女も歳を取り、男が死ぬ。女は消え、屋敷も畑も元の形に戻っていった。どこからともなく別の若い女が現れて・・・。
 どんぐり民話館
 死者を葬るためにカカシをひきぬいて棺に入れた。その後に生えてきた花をつけぬ草のはっぱ。殿様の短刀が無くなって疑われた事から、妙な力をつけ、やがて男は竜になった。そのウロコ三枚。日照りを救ってくれた坊さんの恩を忘れた頃村はコオロギの大群に襲われて滅びた。その坊さんが残していった小さな石ころ。どんぐり民話館にはそんなものが治められているという。一人の青年が訪ねて行くがどこにも見つからず、青年はやがて自然と調和した建物になった。不思議な物語とは思うが、何を言おうとしているのか今一つぴんとこない。
990828