ハヤカワ・ミステリ文庫 ACCIDENTAL CRIMES 秋津 知子 訳
荒れ地で暴行・強姦された女学生の遺体が発見された。低所得者層に属するコンラッドは、刻苦勉励してカレッジ教師の資格を取り、妻には良家の出のステファニーを迎えた。しかしカレッジはある大学に吸収合併されることになり、一つしかない主任教師のポストを獲得しなければ失職してしまう、と言うことになった。彼はあせる、その上まじめ一方のコンラッドに少し飽きてきたらしいステファニーは同僚のスタンと何か怪しい素振り。
生徒の出来等にも失望した彼はある夜、ふらふらとエロ雑誌を買い、ピンク映画を見る。そして自宅へ帰る途中、女の子を車に乗せてやるが、とんでもないあばずれ、イヤになった彼は荒れ地で小用に外に出たその子を置き去りにして帰ってしまう。
ところがその付近で同じ頃、若い女が暴行・強姦され殺されているのが発見された。立場上本当のことを言えぬ、コンラッドはその日そこを通らなかった、などと警察に嘘をついてしまう。しかし、嘘は次々に破られ、追いつめられて行く。捜査令状を取ったローゼン部長刑事は家庭にまでおしかける。ステファニーはそうした夫にだんだんいや気がさしてくる。
そして主任教師選任のための面接が終わって呼ばれた彼を待っていたのは警察、ついて行くと預かった背広を返す、あなたの容疑は晴れた。さんざん毒づくコンラッドに、なぜ嘘をついた、協力してくれなかったかと警察。コンラッドが消沈して戻ると家にはステファニーの置き手紙・・・・。
できあがった作品を見ると、コンラッドに何ら救いがないのがやりきれない。作者の目に暖かいところがないように見える。人間には誰にも弱いところがあるものだ。もちろん教師だって例外じゃない。ジョン・ハットンにはないのかな。
ストリップ、エロ映画、エロビデオ、これらをどのくらい見るか、あるいは見ないか世の男どもにアンケートを取ってみたら、どう言うことになるだろう。実際の販売量や収入から換算した値と比べて恐ろしく小さな値になるに違いない。もちろんこんなものには生まれてこの方一切ご縁がない、という御仁もいるかもしれない。でもそういう偉い人と私はつきあいたくない、人間的にどこかゆがんでいるに決まっている、という気がする。
そう言う意味でこの作品はよく書けているけれど、何か主張が教条的すぎて面白くなかった。
・部長刑事はその雑誌(エロ雑誌)を”ニールド”と記されたファイルにしまった。このこと自体は別にどうという事もなかったが、これはある方向を示していた。重要なのは、これであの男がどういう心の持ち主かわかることだ。(180p)