針の眼 ケン・フォレット


早川書房ハードカバー STORM ISLAND 鷺村 達也 訳

敗色濃いドイツにとっても、連合国にとっても、連合軍がどこに上陸するかは、第二次世界大戦の勝敗に左右しかねない重大関心事であった。<針>はそのドイツが英国に送り込んだ最強のスパイ。秘密と自己の安全を謀るためには人を隠し持ったステイプレットで簡単に刺し殺す。戦争の始まったころには、下宿の未亡人ガーデン夫人、相手に感づかれたドジなドイツスパイカルダー少佐。
そしてついに英国の軍事基地に侵入するが、そこで彼が見たものは張り子の戦車に飛行機。連合国は、カレー上陸と見せてノルマンデイから上陸しようというのだ。証拠の写真を撮り、戻る途中またまた田舎の見張りの在郷軍人ども5人を殺す。
もちろん英国も黙っているわけではない。ゴドリマン教授指導のもとにハリス等が動くのだが<針>は常にその上を行く。この列車にいるはずと下宿先で一緒だったパーキン青年に調べさせたところ、車両連結部のジャバラ部分に死体となって発見された、という具合である。
しかし、<針>のつきも落ちたのか、アバデイーンから盗んだモーターボートでUボートとの待ちあわせ場所に向かおうとしたところ難破、ほとんど無人の島に辿り着いた。そこには不具のデービットと夫に不満を募らせるルーシー、その子のジョー、羊飼いのトムが住んでいた。<針>は一家の家にたどり着くが、やがてルーシーと関係を持つ。デービットは彼がスパイであることに気がつき、ついに対決、しかし殺されてしまう。最後にルーシー、ジョー親子に<針>がせまる・・・・。

原題のSTORM ISLANDは、一家の住んでいた島の名である。テーマがよくしぼられていて話しの進め方に無理がなく、書き方も丁寧である。殺人や情事の場面はどこも迫力があり、最後の追いつめられる親子の場面はスリルがあふれている。よくまとまったスパイ小説といえよう。

・ドイツスパイに関する情報源・・・・パスポートの管理、電波通信、二重スパイ(42P)