ハロウイーン・パーテイ  アガサ・クリステイ


ハヤカワ・ミステリ文庫 HALLOWEEN PARTY 中村 能三 訳

 ジュデイ・バトラーの家で大人と子供が集まってハロウイーンパーテイが開かれた。その席上13歳のジョイスが、殺人の現場を目撃したと言い出す。おかしな話に子供たちはと騒ぎ、ロウイーナ・ドレイクは花瓶を落として割ってしまった。ところがパーテイが終わると、ジョイスがいない・・・彼女は図書室でリンゴ食い競走用のバケツの中に首を突っ込んで死んでいたのだ。
 友人の探偵作家オリヴァの依頼で、ポアロが捜査に乗り出す。ジョイスは何か事件を見たに違いない、と確信したポアロは過去の事件をあらい、富豪の未亡人ルウエリンが死んだ事件に目星をつけた。彼女は常々遺産をロウイーナに送ると言っていたが、死後発見された遺書では面倒を見てくれたオリガに行くことになっていた。しかしその遺書は鑑定の結果偽とわかり、
裁判を待つまでもなくオリガは消えてしまった。
 ポアロは今は荒れてしまったルウエリンの庭を考えながら歩いていた造園師のマイケルにであう。彼はギリシャに壮大な庭を造る夢を語る。ジョイスの弟のレオポルドが殺された。事件は漠としている。
 しかし推理のはめ絵を一つ一つ埋めて行ったポアロは、ついにルウエリンの庭の古井戸で、オリガの死体を発見。毒牙にかかる寸前だった本当の殺人の目撃者ミランダを助け出す。
 犯人は、自分の夢を果たすために、遺産の入ったロウイーナに接近、二人で元の恋人オリガを殺したが、それをミランダに目撃された。彼女から聞いた話をジョイスがパーテイでぺらぺらしゃべったため、ロウイーナは驚き、水に濡れたため花瓶をひっくり返してごまかしたが、やはり心配で殺してしまった。その上レオポルドに感づかれて強請られたため、これも殺すことになった。しかし本当の目撃者がミランダと分かって・・・・。

 話全体は「誰がやったか。」よりも「何がおこったか。」「何が起こるか」に重点が置かれ、その部分が半分以上を占め、だれる感じがする。読者とすればこの段階でバラバラの断片を組み立てながら事件を再現する事を要求されるのだろうが、正解以外のプロセスが正解であるという可能性も否定しきれない。しかし考えさせるためのプロットは精緻であるし、終盤の盛り上げもさすがで一気に読ませる力がある。

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