被害者を捜せ!         パット・マガー


創元推理文庫

第二次大戦下、アリューシャン列島に駐屯していた僕たち海兵隊員は、することもなく活字にうえていた。そんなおり、故郷から送られてきた小包の詰め物に使われいた新聞紙に、僕が属していた「家事改善協会」の総代表、ポール・ステットソンが人を殺したとの記事、しかし新聞は破れていて、誰が殺されたのか分からない。そこで故郷に問い合わせをする一方、誰が殺されたのかを、ぼくが体験談をかたって聞かせ、それをもとにあてる賭をすることにした。通常の推理小説と違って被害者を捜すと言うところが味噌。

被害者としてはどれも疑わしい者ばかり・・・
会長のウイロビーは、金を出しているにも関わらず、代表ステットソンには重視されず、嫌気がさしている。子供の時に事故でステットソンに片目にされてしまった副会長ソーンダーズは、ステットソンが何も与えてくれぬと恨み、その地位をねらっている。同じ副会長のホイップルは、普段は良い男だが酒を飲むと狂い、いまはステットソンをミソクソ。ステットソンの元情婦コールマンも副会長におさまり、副会長は全部で7人。彼女は「家善協」の元の組織の責任者で書記のハーデイング女史と激しく対立。西部のノックス女史も、副会長で教条主義者、彼女は自分こそ中心になるべきと考えている。仲間内の葛藤は次第に強くなり、ついには殺人に近い事件まで発生する。

最後はソーンダースが、ノックスとハーデイング女史を抱き込み、ステットソン追い落としを図る・・・・。そして茶色のスカーフで首を絞められた絞殺死体。
種はどうと言うことなく、スカーフを唯一取り出し得たハーデイング女史が被害者なのだが、そこに至る各人の性格、心理等の描写が素晴らしい。そしてこのようなことは、どのような組織でもありそうなことと思わせ、人間の裏の一面をえぐり出している点では素晴らしい。ただここでは殺人事件を「被害者あて」というゲームの一貫として扱っている。それなら、最後にひとひねりして、とんでもない犯人でも飛び出した方が面白かったという気がした。

・「家善協」新学院建設公聴会
「建築請負人協会」学院の建築計画は大きい方が妥当であると考えております。
「女性開放グループ」学院建設は止めてください。女性を家庭に押し込める事を意味するいかなる法案も受け入れる事はできません。
「各地の商業会議所」その学院をぜひとも我が町に
「農業団体」学院の調理および実験室では、一切の外国製の食物は使わないようにしましょう。

「熱狂的平和主義者」陸軍士官学校と海軍士官学校の施設をそっくり使わせるよう、母親立ちは切に願っております(134p)