創元推理文庫 The India Exhibition 浅倉 久志訳
ヘンリー・スラッグスは42歳、国務省から派遣されているスミソニアン博物館渉外業務室職員。学芸員でもないヘンリーに突如インド大使館からガンジーと並ぶ偉人との触れ込みでK・V・チャンドラなる人物の生誕150年記念開催の話が舞い込んだ。
事の成り行きで段取りを行うことになったが、資料収集に現地にはインド大使館文化顧問バーガット・グプタの推薦でヴァイオレットなる美しい女性が派遣されることになった。ヴィシュヌ神の形をしたチャンドラの黄金像も持ち込まれることになり、それには1000万米国ドルの保険がかけられた。
ヴァイオレットは希代のドラッグ・マニア。彼女に誘われてドラッグパーテイにださせられるわ、犬の世話を押し付けられるやら、同棲したフィービには愛想をつかされるやら大変。しかし彼女がインドから送ってくる写真はすばらしいものでヘンリーを喜ばせた。収集も終わり、黄金像も運び込まれ、あとは開催を待つだけとなった。ところが突然黄金像が消えてしまった!
直前に怪しげな仕出屋グループが現れ、消えていたことから彼らに疑いがかかった。彼らはヴァイオレットのドラッグ仲間。ようようにヘンリーは捜し当てたが彼らが言うには「われわれが忍び込んだときには黄金像はなくなっていた!」そしてヴァイオレットの死!謎は深まってゆく。本質的には密室からの黄金像が消失する推理劇・・・・解決はどうなるのだろうか。例によってウイットとユーモアにとんだ文章がうまい。訳がうまいとも言える。作者のセンスを感じさせる。
・ 靴下から水分が蒸発するにつれて、湯気が上がりはじめた。濡れた犬のようなにおい。いや、悪臭だ、とヘンリーは訂正した。たしかバーナードショウがそれをうまく表現していたっけ・・・・「マダム、あなたのは匂い(スメル)です。私のは臭い(ステインク)です。(47P)