ハヤカワ・ミステリ文庫 PERIL AT END HOUSE 田村 隆一 訳
どんでん返しの素晴らしい本格推理で、彼女の代表作の一つにあげても良いのではないかと思う。ポアロ「動機は何か。」「どこに秘密があるのか。」等見えない悪に対して悩む様子が良く描かれ、読者に考えさせるところが素晴らしい。
坂の上の屋敷に住むニック・バックレイ嬢が、命を狙われたのは4度目である。最初は寝台の大きな額がおち、次は車のブレーキに細工が施され、続いて崖の上から大きな岩がおちてきた。そしてポアロと会見しているその目前で狙撃されたのだ。さしたる財産もない彼女がなぜ、襲われるのか。家にはメイドのエレンとその夫、友人のフレデリック夫人、番小屋にオーストラリアから来たというクロフト夫妻、関係者に弁護士のヴァイス、海軍中佐のチャレンジャー、美術商のラザラス・・・どの人物も動機はなさそうだ。
そして憔悴した彼女の護衛のために来てもらった妹のマギーが撃ち殺された。どうやらニックと間違えて撃たれた様だ。一方で飛行家マイケルシートンの死。ニックは、実は彼と婚約していたのだとポアロに打ち明ける。ポアロが調査したところ、そのとてつもなく大きな遺産はマグダラに贈られることになっていた。マグダラ・ニック・バックレイ・・・・誰かが、彼女の受ける遺産を狙って仕掛けた殺人に違いない!
しかも、病院に収容された彼女の元にコカイン入りのチョコレートが贈られ、それを食べた彼女は一命も危うい・・・・。
しかし最後にポアロはニックが亡くなったとのデマをながした上、全員立ち会いの元でニックの遺言書を開く。全財産はクロフト夫妻に・・・・、ここで幽霊に扮したニックが登場し、夫妻の偽遺言書作成を糾弾する。それではマギーを撃ったのは彼らか・・・。
ポアロは犯人を指摘する。マイケル・シートンと婚約していたのはマギーだった。彼は死んだ場合、財産をマギーに譲ることにしたが、彼女の名も犯人の名もマグダラだった。そのことを知った犯人は、自分で三度襲われたとデマを流し、ポアロの前で襲われたふりをし、マギーを護衛に呼び出し殺した。さらに自分に疑いがかかるのを避けるため、コカイン入りチョコレートを食べて見せた・・・・・。
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