創元推理文庫 NO COFFIN FOR THE CORPSE 田中 西次郎 訳
文章の書き方は味があるし、トリックは面白いし、最高の本格派推理小説。
新聞記者ロス・ハートの恋人はケイだが、その父親のダドリ・ウルフは巨大な権力を有する実業家。彼は一発で追い出され、オマケに会社も首になって大奇術師兼探偵のグレート・マーリニのもとで働くことになった。一方ダドリはFBIの探偵と称するウイリアムに恐喝されるが、こずいたところ死んでしまった風。今、ばれてはまずいと雑木林の中に埋めてしまった。ところがこれから妙な幽霊が徘徊しだし、ダドリはおびえている風。マーリニと調査に行くと闇夜に響く銃声、その上ロスは何者かに縛られ海の中に投げ込まれる。ようように脱っして戻ると、ダドリが殺されていた。そしてボート番のスコッテイが消える。銃声は実は糸を使って触ると発射するようにした仕掛け銃。その銃もきえてしまった。フリント警部補はダドリ殺害の疑いをロスにむける。
スコッテイが再び現れて、ようやく幽霊の謎が解けてくる。一度埋めたウイリアムが這い出して来たらしい。そして墓の発掘。彼の正体は水中埋葬で行方不明になっていた大魔術師ザレー・ベイ。何者かが彼を後から掘り返す約束で殺したふりをした、ところがそいつは掘り返すことをやめてしまった、ところがスコッテイが掘り返したから、かれは幽霊となって現れ、裏切った者どもを驚かして回っているらしい。
最後に幽霊のウイリアムが、屋敷から脱出を試みるが、自動車事故で死亡。ところがよく調べると排気口に置かれたドライアイスで窒息死気味だった事が明らかに・・・。その約束を裏切ったのは・・・・ダドリ自身、とすればなぜ殺された。それではロスの恋人ケイ、それでもつじつまが合わない。結局元霊媒師で銃を飲み込む術まで披露するダドリの妻のアンと分かった。
理由の方は少し貧弱で、ウイリアムとかって結婚していたアンが、二重結婚をタネに強請られた、それなら私もちょうど亭主のダドリが嫌になったからこいつを恐怖に陥れて殺してしまおう、あなたは死んだふり、大丈夫あたしが後から掘り返してあげるから、と始まった幽霊殺人劇だった。
・金鋸の刃を使って錠前の円筒を回転させこじ開ける。(181P)
・ある男が上流へ向かってボートを漕いでいた。二マイルおきに標識がある。二つ目の標識のところで、帽子が風に吹き飛ばされて川に落ちた。だがその男はあまり機転が利かないやつで、気がついた時には十分経っていた。そこで逆戻りして帽子を取りに行った。川から拾い上げたのは最初の標識の所だった。・・・・流れの速さを算出してくれ。(121P)
・仕掛け銃(233p)
・テーブルの縁、すぐ落ちるばかりのところに、氷を置き、花瓶をセットする。花瓶がおちて水がこぼれてもセットを怪しまれない。(342p)
・燐を溶かし込んだ油のガラス瓶を使って心霊体の光を出す。(334p)