教会で死んだ男 アガサ・クリステイ


ハヤカワ・ミステリ文庫 SANCTUARY AND OTHER STORIES 宇野 輝男 訳


戦勝記念舞踏会事件
戦勝記念舞踏会。一家は6人、クロンショーと婚約者のコートニーはどうしたわけか、仲が悪い。その後、仮装パーテイがはじまり、最後に素顔を見せる段になってデイグビー大尉がクロンショーを遠くに見かけ、呼んだところうなずいたが、いつまで経っても現れない。調べてみると食事をした会場にクロンショーの刺殺死体。しかも医者は「おかしな硬直をしている。」実はクロンショーは食後すぐ殺されたのだが、仮装舞踏会場では犯人がクロンショーの衣服をつけ、呼ばれたときに隙をみて、それを剥ぎ取り、自分の衣装に戻ったため、クロンショーは会場にいたと錯覚を与えていたのだった。犯人はコートニーに麻薬を供給していた男で、クロンショーと争っていたのだった。
潜水艦の設計図
この話は爆撃機と潜水艦が異なり、登場人物の名前こそ変えてあるが「死人の鏡」に収録されている「謎の盗難事件」と同じ。
クラブのキング
手を真っ赤に血で染めた女優のセントクレア嬢が、ブリッジをやっていた居間に飛び込んできて気をうしなった。リードバーン氏に会いに行ったところ、何者かに襲われたという。そのリンドバーン氏は自室で頭を打って死んでいた・・・・・。ポアロは3人しかいない、カードが一枚足りないことに気づき、ブリッジは嘘。兄が弟と争った拍子に死んでしまったが、これを隠すために芝居を打ったと見破る。
マーケット・ペイジングの快事件
プロザロー氏はお手伝いと二人暮らしだったが、最近パーカー夫妻が住み込んできた。ある日彼は自室で、頭を打ちぬいて死んでいた。しかし、右手に銃、左耳の下から打ち抜くという妙なスタイル、外にもいくつか他殺を暗示する証拠が・・・。パーカー夫妻が昔の話を種に強請にきていた事が判明し、有罪が確定した。しかしポアロは「他殺に見せかけた自殺」であることを見破る。「死人の鏡」に収録されている「厩舎街の殺人」と同じアイデア。
二重の手がかり
大富豪のパーテイで金庫から大きなルビーが盗まれた。現場には秘書のパーカーの手袋とBとPのイニシアルのついた、シガレットケース。犯人はヴェラ・ロサコフ夫人。英語のV、Rはロシア語ではB、Pと書く。
呪われた相続人
昔盗みの嫌疑で捕まえた女中を壁に塗り込めるという残虐な殺し方をしたために代々長男が短命という呪われたリムジュリア家。しかし長男の壁からの転落事故が蔦にあらかじめ切れ目が入れてあったためと教えられたポアロは調査に乗り出す。夜間、犯人が長男の寝所に忍び込むのを待って捕らええたところ、当主その人で、彼はまさに我が子にたくさんの蟻を殺して作った蟻酸を注射しようとしていた。財産に狂った男の伝説の力をカサに着た犯罪。
コーンウオールの毒殺事件
夫に毒を盛られているらしいと調査を依頼に来たベンジュリー夫人は砒素中毒で死んでしまった。夫婦の間は不仲で、夫が除草剤を料理に混入していたという証言もあり、逮捕される。しかしポアロは娘婿にせまる。「あなたが犯人だ。夫人を殺し、ベンジュリー氏を犯人に仕立てて二人を亡き者にし、財産をのっとろうとしたのだ。」確とした証拠はないが、あとははったりで無理矢理自供書にサインさせてしまう。
プリマス行き急行列車
ブリストル経由Pリマス行きの一等列車の座関下から、女の刺殺死体、調べてみるとキャリントン卿夫人。そして高価な装身具の紛失。下女の話では、夫人はブリストルに行く予定だったが、女中に「プリマスまで行く。荷物をあずけてブリストルで待て。」と指示したという。列車の中には別の男がいたとも証言。そして駅の売り子はブリストル・プリマス間で夫人を見かけている。列車の中にいた犯人らしき男は中の悪かった夫だろうか、あるいは彼女とよりをもどそうとしていた昔の恋人だったろうか。実は下女を含む宝石窃盗団の犯行で夫人はブリストル以前にクロロフォルムをかがされ刺し殺されていた。その後、少しばかり、下女が女中に扮してアリバイ作りをしていた。
炊事婦の失踪
炊事婦のイライザが突然いなくなった、捜してくれとトッド夫人からの依頼。広告をだして探し出すと、実は見知らぬ男からあなたはオーストラリアの叔父が死んで遺産を受け取ることになった、今すぐ家政婦をやめなさいといわれたのでそのとおりにした。一方銀行で公金拐帯事件がおき、若い男デイヴィスが姿をけした。炊事婦がいなくなった家には炊事婦のトランクを何者かが受け取りに来た・・・・。ポアロはトッド氏が公金を拐帯し、デイヴィスを殺して犯人に見せかけた。死体は炊事婦のトランクにいれて送り出したと推理。
二重の扉
バスで旅する途中、若い女性メアリーがおばに頼まれてベイカー氏に高価な絵を見せに行く予定だったが盗まれてしまった、助けてくれと頼まれる。トランクは妙にこじ開けられている。ベイカー氏に問い合わせるとおばの代理と称する男がきて絵を見せたので金を払ったとのこと。絵の盗まれ方に不審を持ったポアロは、絵は売りつけ、盗難保険をだましとろうとしたメアリーとおばの共同犯行と見破る。
スズメ蜂の巣
ポアロはハリソン氏が雀蜂の巣を退治する仕事をラングストン氏に頼んだと聞いて注意しろ!と忠告する。ハリソン氏と婚約しているモーリー嬢がラングストン氏の元婚約者で、彼が薬屋で青酸カリを買ったことを知っていたからだ。そしてラングストン氏のポケットにある青酸カリを入れ替える。しかしラングストン氏が後2月の命と分かり、モーリー嬢は元のさやに納まろうとしている、それなら自分が殺されてラングストン氏を殺人犯にしてしまえ、というハリソン氏の意図はいつわかったか?。
洋裁店の人形
その気味の悪い人形は洋裁店の片隅にいつの間にか現れ、誰が動かす訳でも無いのに、いつのまにか窓を向いたり、鏡を見ていたり・・・。気味が悪いから一部屋に閉じこめてしまったが、しばらくして開けるといつの間にか出てくる。嫌になって外に捨てると女の子が拾った。あの人形はただ可愛がってほしかっただけなんだ。
教会で死んだ男
男は教会の祭壇で銃で打たれて死にかかっていた。見つけたパンチことハーモン夫人に「ジュリ・・・。」「たのみます・・・たのみます・・・。」と言って息絶えた。まもなくエクルズ夫妻から連絡があってその男は行方不明になっていた弟であるから死体を引き取りたいとの連絡。ところがどうも怪しいと感じたパンチは背広に縫い込んであった荷札の預り証を抜いておき、マープル夫人のもとに相談に行く。パンチが別の荷札を用意し、引き取りに行くと、男が襲ってきた。争いになり、男を捕らえると彼はエドウイン・モスと名乗った。教会で死んだ男は脱走囚でウオルターと言う男。
昔、美人の誉れ高いダンサー、ゾビーダが宝石が盗まれたと訴えた。宝石工作人のウオルターが疑われ、彼は別件で監獄行きとなった。ゾビータはその後、他界した。しかし、実は盗まれた宝石は偽物で盗難事件は売名行為だったらしい。そのことを知ったエクルズとエドウイン・モスはウオルターが出所後、本物の宝石を隠し場所に回収に行くと判断、彼の後をつけ、彼が密かに手に入れたスーツケースを奪取しようと試みたのだった。その際、おそらく、エクルズがウオルターを撃ったらしい。マープル夫人が隠していた荷札で得たスーツケースを開けると宝石とウオルター、ゾビーダの結婚証明と「ジュウエル」という娘の出生証明書が出てきた。
短編にしてはひどく入り組んだ小説である。