メグストン計画        アンドリュウ・ガーヴ


ハヤカワ・ポケット・ミステリー THE MEGSTONE PLOT  福島 正実 訳

潜水艦艦長で海軍省の役人クライヴは、ある時、昔なじみのさえない暖房装置家の妻イザベルと、懇ろな仲になる。ところが彼女が悪人で、大金が欲しいとせっつく。そこで海軍省の秘密を外国に売ったように見せかけて、逃亡し、新聞が騒ぎ立てるのを待ち、現れて、彼らを名誉毀損で訴え賠償金を取ろうと計画。
いかにもそのように見せ掛け、恋人レズリーまで作り、彼女に振られたようにも見せ掛けて、おんぼろ船で港を出、メグストン島という無人島で船を座礁させ、そこでロビンソンクルーソーのような生活を始める。そして、そろそろ良かろうと、救援ののろしを上げようとするが事故で背中を痛め、大失敗、その上、雨にもたたられて本当に遭難。しかし様子がおかしいと感ずいたイザベルが、子供に、浜辺で「救援頼む。」の紙入り瓶を子供に拾わせ、当局に連絡、助け出される。
救出されたクライヴは、一躍英雄になり、訴訟は勝ったも同然と思われた。
ところが、取材でレズリーに近づいた新聞記者がおかしいと感じ始める。そして記録写真には遭難してすぐのろしを上げたと言いながら、その時にはないはずの鵜の卵が撮影されていて・・・・・・。

倒叙型推理小説のおもしろさは、犯人がどのようにしてそのような行為をするかに至った心の動きが克明に描かれ、かつどうやったら良いかを読者と一緒に考えさせるところに魅力があるように思う。その意味でこの小説は非常に良くできている。確かに結末は女が男に罪をなすりつけ、男はフランスに逃亡するというさえない結果に終わっているけれども、そこに人間らしさと救いがあるように思えた。
遭難したらしいと知ったイザベルが「救援頼む。」の紙入り瓶を子供に拾わせる細工は外にも使えそうに見えた。
ただ、金の儲け方が新聞社をトリックにかけるというかなり回りくどい方法を取っている点がきになった。また、推理小説の難しさは作り上げた犯罪のトリックの瑕疵をどうやって見つけるかだ。この小説では鵜の卵が写真に写っていることに帰すのだが、やや平凡で偶然性に頼りすぎているように思えた。

・冒険とは計画の失敗の謂なりと誰かが言った。(56P)
・人生は望むがままに楽しみ・・・楽しみて後支払え(139P)