ハヤカワ・ミステリ文庫 THE MOUSETRAP 鳴海 四郎 訳
この作品はクリステイ62歳の時の作品で、ロンドンアンバサダーズ・シアター隣の、セント・マーチンズ・シアターで1952年以来10000回以上の公演を重ねた作品である。(解説より)
新婚1年のモリーとジャイルズは、民宿マンクスウエル山荘を始めたが、今日が初日、あいにくの大雪でうまくゆくかどうか不安である。
ラジオから、そこから50キロのロンドンで幼児虐待事件の被害者が、復讐をねらい、一人を殺し、今さらなる復讐をねらって逃亡中、とのニュースが流れてくる。しかもどうやらこの山荘が、その事件と密接な関係があるらしい。
客が次々にやってくる。不満たらたらの元判事ボイル夫人、若い建築家のレン、退役軍人メカトーフ少佐、男のようなケースウエル嬢、そして道に迷って転がり込んできた怪しげなバルビチーニ青年とロンドン事件の調査に来たと言うトロッター刑事・・・。
この中にもしかすると凶悪犯がいる、と思うと、モリーとジャイルズまでがお互いを疑いだし、皆疑心暗鬼になる。そんなとき停電、舞台が暗転しボイル夫人の刺殺死体が転がる。さあ、大変、不思議なことに電話線はいつの間にか切られていた。
第二幕は捜査編、不思議なことにトロッター刑事が乗ってきたスキーがいつの間にか消失し、刑事はいらだってくる。そして刑事がモリーに根ほり葉ほり素性を聞き、最後にピストルを取り出し、ついにその正体を露にした。
こうしてシナリオで見てみると刑事が偽物だろう、という推定は容易につく。しかし閉じこめられた山荘での恐ろしくもユーモアのある会話が楽しく、ロングランの理由が分かる気がした。また第一幕一場登場人物と状況の紹介、二場対立の構成と事件、第二幕解決編という進め方はクリステイの小説スタイルに忠実である。
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