親指のうずき         アガサ・クリステイ


ハヤカワ・ミステリ文庫 BY THE PRICKING OF MY THUMBS 深町 真理子訳

 クリステイの作品は謎もさることながら、ストーリーのおもしろさが際だっているが、これもそれを象徴するような作品。主役は「おしどり探偵」などでなじみのトミーとタペンス。

 物語は二人が養老院サニー・リッジにいるエイダ叔母さんを訪問するところから始まる。暫くしてその叔母が亡くなったことを知り、遺品を整理するため再びサニーリッジに足を運ぶ。タペンスは叔母の部屋にあった一幅の風景画に胸騒ぎを覚える。運河のそばにたつ人気のない人家、どこかで見かけた風景だ。
 絵の元々の所有者ランカスター夫人は、前回の訪問の時、子供が塗り込められた暖炉の話をしていたが、忽然と姿を消していた。調べてみると養老院では次々と不審な死がおこっていた。親指がずきずきし、何か悪い予感を感じたタペンスは絵の風景を求めて旅立ち、やがてサットン・チャンセラーにたどりつく。家の半分には怪しげなベリー夫妻が住み、もう半分は空家、しかしそこでタペンスは古い人形を見つける。家の過去の変遷や昔あった幼児連続殺害事件を含めて町の活動家プライ女史に聞く。そして牧師の手助けをして死んだ子の墓を調査している時、彼女は突然おそわれ昏倒する。

 タペンスからの連絡が無く、心配したトミーは、絵の作家ボスコワン氏の夫人を発見、サットン・チャンセラーにたどり着く。病院で再会した二人は、エイダ叔母さんの隠し戸棚にあった遺書から、叔母さんが養老院での殺人事件を追っていた事を知る。トミーの友人スミス氏から、弁護士エクルズを中心とする悪徳グループの存在を聞くが、その話を裏付けるように、あの人形の腹からダイヤモンドが飛び出す。しかもエクルズ氏はランカスター夫人がサニー・リッジに入る際の手続き全てを引きうけていた。

 ランカスター夫人の身を案じていたタペンスは偶然、サニー・リッジの家で彼女に再会する。ランカスター夫人は空屋になっていた部屋にタペンスを案内し、身の上話を始める。同時にタペンスの身に危険も迫って来る。
 最後は、一同会しての謎解きで、大地主フィリップ卿とランカスター夫人さらには、活動家プライ女史との関係が明かになっていく。事件はこれにエクルズを中心とする悪の一味が、運河脇の家を盗品の隠し場所に使用していたことが絡んでいた。

 謎自体はそれほど大きなものではない。しかしそれがうまく話の中にちりばめられ、全体の雰囲気とうまく解け合っている。また、事件を自然に見せるなんでもない会話の進め方が実にうまいと思った。

The following list of poetry was compiled by Ragnar Jnasson, 1997.

By the Pricking of My Thumbs, 1968

By the pricking of my thumbs
Something wicked this way comes.
William Shakespeare, Macbeth

POETRY
http://www.hi.is/~ragnai/eacpo.htm

r990303 rr991012

rrr060928(友人A氏が私のものを元に修正)