ペット・セマタリー      ステイーブン・キング


文春文庫  PET SEMATARY 深町真理子 訳

 都会の競争社会を嫌ってメイン州の小さな町に越してきた、クリード一家は若い夫婦と二人の子供の一家。しかし家の前の道路を大型トラックが我が物顔に走り抜け、たった一件のお隣さんは道路の向かいのクランドル老夫婦だけだった。そして近くには輪禍にあった犬や猫を埋葬した「ペットの共同墓地」
 災厄の予兆は、学校に医者として就職した夫のルイスのもとにバスコーなる学生が運び込まれた時から起こった。学生は死んだが、ルイスは生き返った血だらけの男の幻覚を見るようになった。
 ジャック・グランドル夫人ノーマの死に、続いて飼い猫チャールズの交通事故死。ルイスはジャッドに導かれて、チャールズをあの共同墓地の奥深く枯れ木の山を押し分けて、、かって土着のピクマク族が聖なる埋葬地と定めたところに埋める。ところが気がつくと臭い匂いを発し、ちっとも可愛くなくなったチャールズが家に戻っているではないか。
 ルイスがジャッドに聞くとあの墓地には不思議な力がある。かってテイミーもあそこに埋葬されたのだが復活したという。
 陰鬱な気配漂う中、とうとう長男のゲージが車にはねられて死んでしまった。葬式にめいめいの気持ちが揺れる中、ついにルイスはゲージと大喧嘩までしてしまう。ついにルイスはいったん埋葬したゲージをあの墓地に埋め直せば、ゲージを亡霊として生き返らせる事が出来るのではないか、考える。
妻と娘を里にかえし決行、同じ頃妻は胸騒ぎを感じ帰途につく、ジャッドは不安を感じルイスを監視しようとする。この辺の書き方は畳みかけるようで怖いほどの迫力。ジャッドが、ルイスの妻レーチェルが倒れ、最後にルイスと亡霊たちとの対決・・・・。

 死を正面から捉えた作品、と言えばいかにもマジメに見えるが言って見ればゾンビ作品。読み終わって後味と気持ちの悪さが強烈に残る本だ。読まなければよかった、という気がし、とにかく怖い、論理抜きで怖い!しかしそれがこの作品の良さでもあるのだろう。

・キリストがラザロを死からよみがらせたというのなら、それはそれでいい。信じろと言うなら、信じにくいことだが、信じようじゃないか。・・・・しかしだ、先ずその前に死亡証明書を見せてもらいたいんだ。(上350P)
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