シャーロック・ホームズの優雅な生活  M&M・ハードウイック

創元推理文庫 THE PRIVATE LIFE OF SHERLOCK HOLMES 榎林 哲訳

ワトソン博士の死後50年、カナダに住む孫が、博士のロンドンの銀行の金庫に残したブリキの箱を取りに来た。取り出されたのは一束の事件簿、それは余りにもシャーロック・ホームズの私生活にかかわりがあるため公表を控えていたものだった。

ロシア・バレー団のプリマドンナから奇妙な誘い話に続いて、テムズ川から助けられた謎の女性がベーカー街の事務所に飛び込んできた。南アフリカで夫と幸せな生活を送っていたが、夫がロンドンに行ったきり音信普通に成った。尋ねてきたところ、男たちに襲われ、テームズ川に放り込まれ、挙句記憶喪失になったらしいのだ。彼女はホームズの見事な推理によりガブリエル・ヴァラドン公爵夫人らしいと判明。彼女が手紙が送っていた先を確かめると謎の女がカナリアを見知らぬ男に売っていた。

するとクラブに属し、イギリス内閣に助言を与える立場にある兄のマイクロ・ドフト氏から「この事件にこれ以上手を出すな。」との忠告。

しかしカナリアに関連する秘密の場所がスコットランドはインヴァネスにあるとにらんだホームズは博士と公爵夫人を伴って向かう。そこに待っていたのは・・・・奇妙な小人たち、ネス湖の怪獣、潜水艦等々。事件はいよいよ佳境に入る。そしてあざやかなどんでん返し・・・・・。

この作品は1970年に製作された同名の映画を小説化したものである。監督は「昼下がりの情事」「お熱いのがお好き」などのビリー・ワイルダー、脚本はI.A.Lダイアモンドである。また小説化したハードウイック夫妻は有名なシャーロキアンとのことである。なかなか洒落た作品、と感じた。